2026.07.29
分煙対策・受動喫煙対策
嫌煙権とはどのような権利のこと?有名な判例とは?
皆さんは、「嫌煙権」という権利について知っていますか?
おそらくあまり知らないという人が多いと思います。
今回のコラムでは、「嫌煙権とはどのような権利のことか?」「嫌煙権に関する有名な判例とはどのようなものなのか?」について見ていきましょう。
「嫌煙権」は主に非喫煙者が求めている権利
皆さんは、普段の生活の中で、「嫌煙権」という言葉を聞いたことがありますか?
聞いたことがないという人が多いでしょう。
嫌煙権とは、簡単に解説すると主に非喫煙者が求める権利で、たばこの煙に汚染されていないきれいな空気を吸う権利などのことです。
非喫煙者が望まない受動喫煙を防ぎ、健康被害のリスクを回避するために求める権利となります。
望まない受動喫煙を防止したい、健康被害のリスクを回避したい、という気持ちはよくわかりますので、この主張に納得する人も多いでしょう。
ただし、注意しておきたいのは、この嫌煙権について明確に法律によって規定されているわけではないということです。
ですから、常に嫌煙権が認められるとは限りません。
「喫煙権」は喫煙者が主張する権利
嫌煙権と一緒に話題になるのが「喫煙権」です。
こちらは、喫煙者が主張する権利のことで、簡単に言えば、喫煙をする権利のこと。
こちらも嫌煙権と同じように、法律などによって明確に規定されているわけではありません。
喫煙することは、禁止されているわけではありませんが、自由に喫煙をしてもよいということではないのです。
とくに、日本国憲法には、次のように書かれています。
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
出典:日本国憲法
ここに書かれているように、「公共の福祉に反しない限り」とありますので、状況によっては制限されることもあるということになります。
嫌煙権に関する有名な判例について
ここまでは、嫌煙権や喫煙権について解説しましたが、日本において嫌煙権に関する有名な判例には、どのようなものがあるのでしょうか?
国鉄嫌煙権訴訟
最も有名なものとしては、国鉄嫌煙権訴訟があります。
この訴訟では、国鉄(現在のJR)を相手に、損害賠償や半数以上の車両を禁煙とするように求めました。
国内においては、この訴訟が嫌煙権に関する最初のものであったと言われています。
判例では、車内における受動喫煙に関しては、受忍限度を超えないとして訴えは棄却されています。
訴えは棄却されてしまったものの、これをきっかけに禁煙車両が多く導入される、多くのメディアに取り上げられるようになったそうです。
考え方は広まりつつある
嫌煙権に関する訴訟は、1980年となっていますが、現在ではその考え方などが広がりつつあると言えるでしょう。
例えば、公共交通機関などでは禁煙車などが次々と導入されるようになりました。
さらに、さまざまな自治体では路上喫煙を禁止するための条例を制定する動きが加速。
最も大きな変化と言えるのが、喫煙に関する法律の改正です。
健康増進法の一部が改正され、望まない受動喫煙を防止するという取り組みがマナーからルール化されました。
以前は、会社や飲食店などでも自由に喫煙をすることができましたが、現在ではそれぞれの施設の種類にあわせて決められた法律で認められた場所でのみ喫煙が可能となっています。
それから、施設や企業によっては全面禁煙とするところも増えているようです。
最近では、健康経営を推進する動きが加速しています。
この健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。
出典:経済産業省 健康経営
健康経営については、健康経営優良法人認定制度が創設されており、健康経営に取り組んでいる企業を可視化しています。
健康経営に取り組み企業を可視化することで、社会的な評価を受けられるように環境を整えているのです。
喫煙所を設置する際は十分な注意が必要
今回のコラムでは、嫌煙権や喫煙権などについて解説しました。
現在では、嫌煙権に関連した動きが広がりつつあるようです。
ただし、一般的な企業などにおいては、喫煙者と非喫煙者が混在しているケースが少なくありません。
このような場合には、どうすればよいのでしょうか?
喫煙者と非喫煙者が共存できる環境を構築するためには、喫煙所を設置するのがよいでしょう。
つまり、全面禁煙とするのではなく、分煙を選択するということです。
ですが、ただ喫煙所を設置すればよいというものではありません。
大切なことは、法律に基づいた喫煙所を設置することです。
さらに、法律を守るだけでなく、たばこの煙やにおいが漏れないようにすること、できるだけ非喫煙者が通らないような場所に設置することなどが重要となります。
とくに、喫煙所からたばこの煙やにおいが漏れ出してしまうと、望まない受動喫煙が生じるおそれがありますので、大きな問題です。
また、非喫煙者が頻繁に通るような場所に設置すると、こちらも大きなトラブルに発展する恐れがあります。
無用なトラブルを防止し、喫煙者と非喫煙者が共存できる環境を構築するために、喫煙所を設置する際には十分な注意をしましょう。
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喫煙に関するルールは今後もさらに厳しくなることが予想される
以前と比較してみると、喫煙に関するルールはどんどんと厳しくなっています。
この動きは、日本だけでなく世界的に広がっているようです。
では、喫煙に関するルールは今後どのようになっていくのでしょうか?
正確に未来を予測することはできませんが、世界的な動きを見ても、今後もどんどんと喫煙に関する法律は厳しくなると予想できます。
世界では、公共の場所での喫煙ができなくなる、たばこに関する広告が禁止される、店舗でたばこの陳列が禁止されるなどの動きが出ているのです。
日本よりも厳しいルールを設けている国もありますので、このような動きにあわせて日本でもより厳しいルールになる可能性もあります。
喫煙者は私有地でも配慮義務を怠らないようにする
ご存知の方も多いと思いますが、私有地については改正健康増進法の規制の対象外となっています。
この場合の私有地とは、自宅のベランダや庭などのことです。
規制の対象外と聞くと、自由に喫煙が認められていると勘違いしてしまう人もいるようですが、それは大きな間違いです。
規制の対象外であっても、配慮義務があるので、配慮義務を怠ると大きなトラブルとなってしまうおそれがあります。
とくに、増えているのが自宅のベランダや庭などで喫煙をして近隣住民とトラブルになるというものです。
近隣住民とのトラブルとなると、精神的な面でも大きな負担となってしまいます。
そのため、このようなリスクをできるだけ小さくするためにも、配慮義務を怠らないようにしましょう。
とくに、周囲に人がいるような状況では、私有地であっても喫煙は控えるべきです。
まとめ
嫌煙権とは、簡単に言えば、たばこの煙に汚染されていないきれいな空気を吸う権利などになります。
ただし、法律などで規定されているわけではありません。
これまでの判例では、嫌煙権が全面的に認められたというものはないようですが、考え方などについては大きな広がりを見せています。
今後も喫煙に関するルールは世界的にも厳しくなるでしょう。





