2026.10.09
喫煙所コラム
喫煙所の設置場所とレイアウトの決め方|苦情を防ぐ配置・動線のポイント
喫煙所を敷地内のどこに置けば、たばこを吸わない人からの苦情を防げるのだろう。出入口からどれくらい離せばよいのか、法律上の決まりはあるのか。喫煙所の計画を任された担当者の方にとって、設置場所選びは最初につまずきやすいポイントです。
喫煙所は、どこに置き、どのように配置するかで、使いやすさも周囲への影響も大きく変わります。せっかく費用をかけて整備しても、場所選びを誤ると、煙やにおいへの苦情が続いたり、遠すぎて使われず敷地外での喫煙やポイ捨てが増えたりすることがあります。
本記事では、喫煙所メーカーの立場から、設置場所に関する法律上のルール、場所を決めるための5つの基準、避けたい場所の例、屋外・屋内それぞれのレイアウトのポイント、必要な広さの目安、計画の進め方までを解説します。
喫煙所の設置場所に関する法律上のルール
喫煙場所を定める際の配慮義務
改正健康増進法では、施設の管理権原者が喫煙場所を定めようとするときは、望まない受動喫煙を生じさせることがない場所とするよう配慮しなければならないとされています。屋外か屋内かを問わず、周囲の人への影響を考えて場所を選ぶことが前提です。
出典:総務省「分煙施設の整備に当たっての留意点等について」
第一種施設は特定屋外喫煙場所の要件を満たす
病院や学校、行政機関の庁舎などの第一種施設は原則として敷地内禁煙です。屋外に喫煙場所を設けるには、喫煙場所が区画されていること、喫煙できる場所である旨の標識を掲示すること、施設の利用者が通常立ち入らない場所に設置することの3つを満たす必要があります。通常立ち入らない場所の例としては、建物の裏や屋上が挙げられています。
出典:東京都多摩府中保健所「第一種施設(医療機関、施術所、学校等)について」
なお、厚生労働省のQ&Aでは、特定屋外喫煙場所について出入口から何m離すといった距離要件はなく、施設の状況に応じて管理権原者が適切な場所を判断するとされています。また、隣の施設に隣接するような場所には設置しないよう配慮が求められています。
出典:香川県「改正健康増進法の施行に関するQ&A(厚生労働省)抜粋」
屋内に設ける場合は技術的基準を満たす
オフィスや工場、飲食店などの第二種施設は原則屋内禁煙です。屋内に喫煙専用室を設ける場合は、出入口で室内に向かう気流が毎秒0.2m以上あること、壁や天井で区画されていること、たばこの煙を屋外へ排気することといった技術的基準を満たす必要があります。屋内の場合は、排気ダクトを屋外へ出せる位置かどうかが、設置場所を決める大きな条件になります。
出典:厚生労働省「受動喫煙防止対策助成金」
地域の条例も確認する
国の法律に加えて、自治体独自の条例があることにも注意が必要です。たとえば大阪市では、2025年1月27日から市内全域で路上喫煙が禁止されました。敷地内に喫煙所がないと、従業員や来訪者が周辺の路上で喫煙してしまうおそれもあるため、地域のルールを踏まえて計画することが大切です。
出典:大阪市「路上喫煙対策の実効性の向上に向けた実態把握・検証について(中間とりまとめ)」
喫煙所の設置場所を決める5つの基準
1. 出入口・窓・通路から離す
建物の出入口や窓、外気の取り入れ口、人がよく通る通路の近くは避けましょう。総務省がまとめた分煙施設整備の資料でも、一般の歩行動線や近隣の建物・家屋の出入口を避けることが留意点として挙げられています。
出典:総務省「分煙施設の整備に当たっての留意点等について」
労働局の資料でも、屋外喫煙所は建物の出入口や窓、通路や非喫煙者も使う休憩場所など人の往来が多い区域から、可能な限り離して設置すると効果的だとされています。
出典:滋賀労働局「職場の受動喫煙防止対策の技術的な留意事項」
前述のとおり、全国一律の距離の基準はありません。ただし、自治体の指針や補助制度で独自の目安を設けている場合があるため、所在地のルールも確認しておきましょう。
2. 風向きと煙の流れる先を確認する
同じ場所でも、風向きによって煙の流れる先は変わります。よく吹く風の向きを確認し、風下に出入口や窓、人の集まる場所が来ない位置を選ぶと、煙が流れ込むトラブルを防ぎやすくなります。季節によって風向きが変わる場所では、年間を通して確認しておくと安心です。
3. 近隣の建物や住宅への影響を考える
敷地の境界近くに設置すると、隣の建物や住宅に煙やにおいが届くことがあります。近隣からの苦情は、社内の苦情以上に解決が難しくなりがちです。通学路や公園に面した場所も避けたほうがよいでしょう。
4. 利用しやすさとのバランスを取る
周囲への影響を気にするあまり、敷地の奥など遠すぎる場所に設置すると、喫煙所が使われなくなることがあります。その結果、建物の陰や敷地外で喫煙する人が増え、かえって受動喫煙やポイ捨ての原因になりかねません。離れていながらも、迷わず行ける距離と分かりやすさを確保することが大切です。
5. 地盤・電源・消防設備など物理的な条件を確認する
パーテーションを固定するために地面を掘る必要がある場合は、水道やガス、通信などの地下埋設物を事前に確認する必要があります。閉鎖型で照明や排気設備を使う場合は、電源の確保も欠かせません。また、消防設備の利用に支障がないか、消火器が必要かについては、管轄の消防署に確認しておきましょう。
喫煙所メーカーとして多くの現場を見てきた経験からいうと、候補地は1カ所に絞らず、2〜3カ所を比べて検討するのがおすすめです。実際に現地を歩き、人の流れや風の向きを確かめると、図面だけでは分からない課題が見えてきます。
設置を避けたい場所の例
設置場所を検討する際、次のような場所は避けるのが無難です。
•正面玄関や通用口のすぐ脇
•窓や外気の取り入れ口の近く
•来訪者や従業員が日常的に通る通路沿い
•駐車場の乗降場所や送迎スペースの近く
•通学路、公園、隣接する住宅に面した場所
•避難経路や消防設備の前
特に出入口の近くは、喫煙者にとっては便利でも、出入りするすべての人が煙の中を通ることになります。便利さよりも、たばこを吸わない人がどこを通るかを基準に考えましょう。
屋外喫煙所のレイアウトのポイント
設置場所が決まったら、喫煙所の向きや内部の配置を考えます。厚生労働省の通知「屋外分煙施設の技術的留意事項について」は、レイアウトを考えるうえでも参考になります。
出典:屋外分煙施設の技術的留意事項について(通知)※群馬県掲載
出入口の向きとクランク
パーテーション型の場合、出入口には方向転換のためのクランクを設けることが望ましいとされています。出入口は人通りの多い側ではなく、反対側に向けると、出入りのたびに煙が通路へ流れ出るのを防げます。
壁の高さと給気用の隙間
壁は2〜3m程度の高さを確保し、四方の壁の下部には10〜20cm程度の給気用の隙間を設けると、煙が横へ広がりにくく、上方へ抜けやすくなります。屋根を付ける場合は、屋根に勾配を付け、人通りの少ない方向へ向けた排気用の開口を設けることがポイントです。
閉鎖型は排気口と給気口の位置に注意
コンテナ型などの閉鎖型では、排気口を天井近くの高い位置に設け、人通りの少ない方向へ向けます。給気口は排気口の反対側に設けると、内部の空気が効率よく入れ替わります。
灰皿と標識の配置
灰皿は、出入口から離れた奥側や排気口の近くに置くと、出入りの際に煙が外へ流れ出にくくなります。喫煙できる場所であることを示す標識は、出入口付近の見やすい位置に掲示しましょう。また、外から内部の様子がある程度分かる構造にしておくと、火災予防や防犯の面でも安心です。
屋内喫煙室のレイアウトのポイント
屋内に喫煙室を設ける場合も、配置の工夫で効率よく換気できます。労働局の資料では、同じ床面積なら喫煙室の形を長方形にし、出入口と屋外排気装置を短辺側に設けると効率的に換気できるとされています。さらに、灰皿は屋外排気装置の近くに置き、排気装置に近い場所で喫煙するようにすると、煙が広がる前に吸い出しやすくなります。
出典:滋賀労働局「職場の受動喫煙防止対策の技術的な留意事項」
エアコンを設置する場合は、吹き出した風が出入口の気流を乱さないよう、遮蔽板を設けるなどの配慮が必要です。屋内の喫煙室は技術的基準への適合が前提となるため、設計段階から専門業者に相談することをおすすめします。
必要な広さは利用人数から考える
喫煙所の広さは、ピーク時に同時に利用する人数から考えます。総務省の資料では、1人あたりの面積は約1.5㎡前後が目安とされています。たとえば昼休みに8人が同時に利用するなら、12㎡前後が一つの目安です。
狭すぎると混雑して出入口から煙が漏れやすくなり、広すぎると費用やスペースの無駄につながります。屋内の喫煙室を人数に合わせて選ぶ方法については、喫煙室は利用する人数等を目安にレイアウトやタイプを選ぶ でも詳しく解説しています。
設置場所選びからレイアウト決定までの流れ
喫煙所の計画は、一般的に次のような流れで進みます。
1.利用人数や時間帯、予算などの事前検討
2.設置候補地の選定と現地調査
3.面積とタイプ(開放型・閉鎖型)の検討
4.図面と見積もりの取得
5.建築確認や各種許可など必要な手続きの確認
6.施工・設置
7.利用開始後の利用状況の確認と改善
利用開始後に、煙の流れや混雑状況を確認し、必要に応じて灰皿の位置やサインを見直すことも大切です。喫煙所は、設置後の運用まで含めて完成するものと考えましょう。
まとめ
喫煙所の設置場所とレイアウトは、法律上のルールを押さえたうえで、人の動線と煙の流れから考えることが基本です。出入口や窓、通路、近隣の建物から離しつつ、使われなくなるほど遠ざけないバランスを取りましょう。屋外では出入口の向きやクランク、壁の高さ、排気の方向を、屋内では室の形と排気装置・灰皿の配置を工夫することで、周囲への影響を抑えやすくなります。
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※本記事の内容は2026年10月時点の情報です。法令の解釈や条例、必要な手続きは自治体や設置場所によって異なる場合があるため、詳しくは管轄の保健所や行政窓口でご確認ください。





