2026.10.09
分煙対策・受動喫煙対策
喫煙所の設置費用は何で決まる?内訳・タイプ別の考え方と補助金を喫煙所メーカーが解説
社内に喫煙所を整備したいけれど、いったいどれくらいの予算を見込めばよいのだろう。稟議を通す前に、費用の全体像と内訳をつかんでおきたい。総務や施設管理を担当されている方から、こうしたご相談を多くいただきます。
喫煙所の設置費用は、選ぶタイプや広さ、工事が必要かどうかによって大きく変わります。同じ屋外喫煙所でも、置くだけで使えるパーテーションと、排気設備を備えたコンテナ型とでは、費用の構造そのものが異なります。
本記事では、喫煙所メーカーの立場から、設置費用を左右する要素と内訳、タイプ別の費用の考え方、設置後の維持管理費、使える補助金、見積もりで失敗しないためのポイントを順に解説します。
喫煙所の設置費用は何で決まる?
まずは、喫煙所の費用を左右する要素を整理しておきましょう。大きく分けると、タイプ、広さと利用人数、工事の有無と設置場所の3つです。
タイプ(開放型・閉鎖型・屋内喫煙室)
喫煙所は、屋根や囲いだけで構成する開放型と、壁と屋根で囲って屋外へ排気する閉鎖型、建物の中に設ける屋内の喫煙専用室に大別されます。構造がシンプルな開放型ほど本体や設備の費用は抑えやすく、閉鎖型や屋内喫煙室は排気設備や空調、照明などが加わる分、費用が上がる傾向にあります。
屋内に喫煙専用室を設ける場合は、出入口で室内に向かう気流が毎秒0.2m以上あること、壁や天井で区画されていること、たばこの煙を屋外へ排気することといった技術的基準を満たす必要があります。換気・排気の工事が必要になるため、屋外の置型と比べると費用がかさみやすい点を押さえておきましょう。
出典:厚生労働省「受動喫煙防止対策助成金」
広さと利用人数
喫煙所の広さは、費用に直結します。総務省がまとめた分煙施設整備の資料では、1人あたりの面積は約1.5㎡前後が目安とされています。たとえば同時に6人が利用する想定なら、おおよそ9㎡前後が一つの目安になります。
出典:総務省「分煙施設の整備に当たっての留意点等について」
狭すぎると混雑して煙が外へ漏れやすくなり、広すぎると費用だけがかさみます。ピーク時に何人が同時に使うのかを把握しておくことが、無駄のない予算づくりの第一歩です。
工事の有無と設置場所
置くだけで使える置型の製品であれば、基礎工事や電気工事が不要なケースもあり、費用と工期を抑えやすくなります。一方で、地面の掘削や基礎づくり、電源の引き込み、排気ダクトの設置が必要な場合は、その分の工事費が加わります。
また、コンテナ型のように建築物に該当する構造は、建築確認や都市計画法上の許可が必要になる場合があります。設置場所によって必要な手続きが変わり、それが費用や期間にも影響する点は意外と見落とされがちです。
出典:総務省「分煙施設の整備に当たっての留意点等について」
喫煙所メーカーとしてお伝えしたいのは、本体の価格だけを比べても、最終的な費用は判断できないということです。設置場所の条件を含めて検討することで、はじめて現実的な予算が見えてきます。
喫煙所の設置費用の内訳
喫煙所の設置費用は、主に次の4つで構成されます。見積もりを確認するときの参考にしてください。
| 費用の区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 本体費用 | パーテーション、屋根、ブース、コンテナなど喫煙所そのもの |
| 設置工事費 | 基礎工事、組み立て・据え付け、電気工事、排気ダクト工事など |
| 付帯設備費 | 灰皿、標識(サイン)、照明、消火器、ベンチなど |
| 手続き関連費 | 建築確認などが必要な場合の申請・図面作成など |
本体費用は、サイズや素材、屋根の有無で変わります。設置工事費は、地盤の状態や電源の位置など現場の条件に左右されるため、現地調査をしてはじめて正確な金額が出る項目です。
付帯設備のなかでも、喫煙できる場所であることを示す標識の掲示は、法律で求められている大切な要素です。灰皿の数や容量は、清掃の頻度や吸い殻のあふれやすさにも関わってくるため、利用人数に合わせて選びましょう。
タイプ別に見る喫煙所の設置費用の考え方
ここでは、代表的なタイプごとに、費用がどのような構造になっているかを比べてみます。
| タイプ | 費用の傾向 | 費用がかかるポイント |
|---|---|---|
| 屋外パーテーション型(屋根なし) | 比較的抑えやすい | 壁の高さ・面積、固定方法 |
| 屋外屋根付き型 | パーテーション型より上がる | 屋根の構造、耐風性、排気用の開口 |
| 屋外コンテナ・キャビン型(閉鎖型) | 高くなりやすい | 排気・空調・照明設備、基礎、手続き |
| 屋内喫煙専用室 | 高くなりやすい | 排気ダクト工事、技術的基準への適合 |
屋外パーテーション型は、構造がシンプルで工事を伴わない製品も多く、費用を抑えやすいタイプです。ただし、雨天時の使い勝手は屋根付きに劣ります。
屋根付き型は、雨や日差しを防げる分、屋根の構造や耐風性の確保が必要になり、費用が上がります。コンテナ・キャビン型は全天候に対応でき、においの対策もしやすい一方で、設備が増えるため初期費用もメンテナンス費用も大きくなりがちです。
なお、第一種施設(病院や学校など)の敷地内に設ける特定屋外喫煙場所は、喫煙場所の区画、標識の掲示、施設の利用者が通常立ち入らない場所への設置が要件です。必要以上に大がかりな設備にしなくても、要件を満たす整備は可能です。
どのタイプが最適かは、利用人数や設置場所、何年使うかによって変わります。初期費用の安さだけで選ばず、使い続けたときの満足度で判断することをおすすめします。
設置後にかかる維持管理費
喫煙所は、設置して終わりではありません。主な維持管理費には次のようなものがあります。
•清掃・吸い殻の回収費用(社内対応か外部委託か)
•灰皿や消耗品の交換費用
•閉鎖型の場合の電気代、換気設備・脱臭機のフィルター交換や点検費用
特に閉鎖型は、設備が多い分だけ定期的なメンテナンスが欠かせません。初期費用と維持管理費を合わせた総額で比べると、選ぶべきタイプが変わることもあります。
喫煙所の設置に使える補助金・助成金
費用を抑える方法として、国や自治体の補助金・助成金があります。ただし、対象となる施設や条件が限られている点に注意が必要です。
国の受動喫煙防止対策助成金
厚生労働省の受動喫煙防止対策助成金は、令和8年度も申請を受け付けています。対象は、既存特定飲食提供施設(2020年4月1日時点で営業しており、個人または資本金5,000万円以下の会社が経営する、客席面積100㎡以下の飲食店)を営む中小企業事業主で、喫煙専用室などの設置費用が対象です。助成率は飲食店が3分の2、それ以外は2分の1で、上限は100万円です。工事の着工前に申請し、交付決定を受ける必要があります。
出典:厚生労働省「受動喫煙防止対策助成金」
一般的なオフィスや工場に屋外喫煙所を設ける場合は、この助成金の対象外となる点に注意しましょう。また厚生労働省は、国の助成金で喫煙室を無料で設置できると勧める業者がいるとして注意を呼びかけています。国の助成金は工事費の一部を補助するものです。
自治体の公衆喫煙所向け補助金
自治体によっては、誰でも無料で使える公衆喫煙所を整備する民間事業者に対し、設置費や維持管理費を補助する制度があります。たとえば大阪市は、指定喫煙所として整備する場合に、設置経費を上限1,000万円(地下施設は2,000万円)、維持管理経費を年間144万円まで、5年間補助する制度を設けています。令和8年度の設置経費の申請期間は5月29日までで、対象エリアも限定されていました。
出典:大阪市「大阪市指定喫煙所設置経費等補助金の申請受付を開始します」
こうした制度は、一般に無料で開放することや、一定期間以上運営を続けることが条件となるのが一般的です。社員専用の喫煙所は対象にならないことが多いため、制度の目的と条件を事前によく確認しましょう。
見積もりで失敗しないためのチェックポイント
最後に、見積もりを取る際に確認しておきたいポイントをまとめます。
•内訳が明細化されているか(本体・工事・付帯設備が分かれているか)
•現地調査をしたうえでの見積もりか
•健康増進法や地域の条例への適合、必要な手続きまで確認しているか
•設置後の清掃・メンテナンスやアフターフォローの体制があるか
一式表記ばかりの見積もりでは、何にいくらかかっているのかが分からず、比較もできません。現地を見たうえで、設置場所の条件まで踏まえた提案をしてくれる専門業者に相談すると安心です。
まとめ
喫煙所の設置費用は、タイプ、広さと利用人数、工事の有無と設置場所によって大きく変わります。本体価格だけで判断せず、工事費や付帯設備、設置後の維持管理費まで含めた総額で検討することが大切です。補助金は対象や条件が限られているため、自社が該当するかを早めに確認しましょう。
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※本記事の制度・補助金の内容は2026年10月時点の情報です。制度の内容や募集状況は変更される場合があるため、最新の情報は各制度の公式ページや所管の窓口でご確認ください。




