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健康経営と分煙対策コラム

2021.02.26 喫煙所コラム
職場の喫煙ルール策定は喫煙者・非喫煙者両方にメリットあり


喫煙ルールを巡り、全国で様々な問題が起こっています。今年に入って国会議員の自室での喫煙が発覚、直近では仙台市の公園に喫煙者が集まり、辺りにたばこの煙が充満するトラブルがありました。

会社での喫煙も例外ではなく、新ルールに困惑する声が散見されます。そこでこの記事では経営者向けに、「会社で遵守すべき喫煙ルールを知りたい」、「社員の健康を守りたい」といった要望に対し、公的機関の情報をもとに解説します。

会社おける喫煙者と非喫煙者の共存に

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50年前のいわゆる「昭和」の職場では、たばこを吸いながら仕事をするのが珍しいことではありませんでした。日本たばこ産業(JT)の調査によると、当時の男性の喫煙率は8割を超えていたそうです。仕事から帰るたびに髪や衣服にたばこの臭いが付着した経験のある方もいるのではないでしょうか。

当然、たばこが苦手な非喫煙者は嫌な思いをしてきたことでしょう。翻って現代の日本では、健康増進法の改正により喫煙スペースが減少し、喫煙を通じた他者とのコミュニケーションがとれない、ストレス解消ができない、あるいは遠い喫煙所まで移動しなければならないという喫煙者にとって生き辛い環境となっています。

いずれにしても、現行のルールの中で双方の利益を最大化するための社内喫煙ルールを策定しないことには、社員の不平不満は増す一方なのです。

※出典:厚生労働省「成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)

会社・職場で策定すべき喫煙ルール

会社・職場での喫煙ルール策定にあたっては、改正健康増進法を遵守することが前提条件です。各自治体によって詳細部分は異なりますが、現在の大まかなルールは「法的に定められた場所以外での喫煙行為を禁止すること」です。これによって、禁煙場所での喫煙行為が法律によって禁止されました。

また、厚生労働省の「すすめていますか?たばこの煙から働く人を守る職場づくり」というパンフレットでは、具体的な取り組みとして以下の2項目が強調されています。社内での喫煙ルールを検討する際は参考にしてください。

全面禁煙

建物内を常に禁煙にする方法です。簡易的、かつ、屋内での受動喫煙のリスクが確実になくなる上に、喫煙室の設置費用もかかりません。さらに、喫煙室の清掃にかかるコストも削減できます。

ただし、例えば社員に喫煙者が多い場合は、たばこ休憩が取りづらい環境であるとも言えます。そのため、喫煙者にとってのストレス解消の方法がなくなり、かえって仕事の効率が下がる可能性も考えられるのです。

加えて、会社の出入り口付近(一応は屋外に該当)での喫煙が増えることも予期されるので、社内外からのクレームが入ることもあるでしょう。他の懸念事項としては、屋外に灰皿が置かれていない場合のポイ捨てです。適切に灰皿を設置しないと、景観を乱すことにも繋がるので注意が必要です。

空間分煙

喫煙室を設置し、それ以外の場所での喫煙行為を禁止する方法です。最近では飲食店などで喫煙ブースが設置される事例が増えてきましたが、オフィス・職場にも同様のスペースを確保するのです。

また、その際は来客者の導線とならない場所に設置することを心がけてみてください。具体的には、出入り口、会議室、トイレ、エレベーター付近など社外の人も利用することが多いような場所は避けた方が良いでしょう。これにより、少なくとも社外の人に対する受動喫煙のリスクは低くなり、会社の印象が良くなります。

一方で全面禁煙に比べると、分煙装置の設置などの初期費用がかかるので、長期的にどちらの方法が有効か検討する必要があります。

以上が厚生労働省が発表しているパンフレットの概要と各々の方法で予期されるメリット・デメリットですが、まだ具体的な喫煙ルール策定のイメージがわかない場合もあるかと思われます。そこで、ここからは有名企業が導入した喫煙ルールの事例を紹介します。自社の状況と照らし合わせて策定の参考にしてみてください。

喫煙ルールの成功事例とメリット

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改正健康増進法の全面施行に合わせて、有名企業の間で禁煙意識が高まっています。それを象徴するように、2020年4月には「禁煙推進企業コンソーシアム」が設立され、加盟企業間で喫煙率低下のノウハウを共有する動きがみられるようになりました。

ここでは大手企業の策定事例の一部を紹介し、そこから得られたメリットや成果を提示します。

味の素グループの屋内全面禁煙

味の素グループは先ほどの禁煙推進企業コンソーシアムの加盟企業でもあり、「吸わない会社」というスローガンのもと、就業時間内の屋内全面禁煙を実施し、2020年度までに非喫煙者率を88%まで増加させることを目指しています。特徴的な方策としては、オンライン禁煙プログラムの提供があげられます。

社内の受動喫煙対策情報誌「スワンSTEP通信」では社内卒煙者や禁煙サポーターの御言葉を紹介するなどして、社員同士がサポートしあえるようなシステムを構築しているのです。その他にも、ポスターやステッカーによる周知や禁煙を促すメールマガジンの配信、セミナーを実施しています。実際に成果も出始めており、2019年度時点で非喫煙者率は86%を記録(前年度より4%増加)しています。

三菱ビルの分煙スペース

東京都千代田区に位置する三菱ビルでは、地下1階に喫煙スペースが設置されています。先述したように、分煙のためには人の通り道になりにくい場所に喫煙スペースを設置し、さらに外に煙が漏れにくい構造にすることが必要ですが、三菱ビルの喫煙スペースはこのポイントを考慮したものになっています。

具体的には室内の奥の方に着席スペースを作り、そのそばに排気口を設置することで、喫煙者を出入り口から離れた場所に誘導します。これによって室外へ煙が漏れるのを防止しているのです。また、細かいポイントとしては床焦げしないように、耐シガレット性のタイルを使用しています。

喫煙者・非喫煙者のどちらも働きやすい環境の創造を

喫煙者・非喫煙者の共存は現代社会の必須事項です。そしてこれには全面禁煙か空間分煙によって対策するのが一般的なのです。ただし、いずれの方法にも本記事で紹介したようなメリットとデメリットがあるので、自社の状況と照らし合わせつつ選択してください。

どちらを選択するか迷う際には、他企業の導入事例を参考にしてみるのが良いでしょう。JTのHPでは施設別の喫煙環境整備事例が公開されており、オフィスに限らず、飲食店、宿泊施設等、様々な施設の経営者にとって有用な内容となっています。

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