2021.02.24
喫煙所コラム
職場・飲食店向け!分煙・受動喫煙対策の具体例や基準を解説
改正健康増進法の全面施行により、受動喫煙対策や分煙対策が義務化されました。実際の企業や飲食店はどのように対策をしているのでしょうか?また、その際の基準はどのようになっているのでしょうか?
このコラムでは、実際の対策を例に受動喫煙対策についてわかりやすく解説します。
改正健康増進法とは?
『なくそう!望まない受動喫煙。』をキャッチコピーに、健康影響の大きい子供や病院患者を受動喫煙から守ることを目的に改正された法律です。
改正されたポイントは以下の3点です。
・原則屋内禁煙
・喫煙所には客・従業員共に20歳未満は立ち入り禁止
・喫煙所には、喫煙可能な場所であること、20歳未満立ち入り禁止であることの掲示義務
屋内が原則禁煙になったことにより、あらゆる公共施設・商業施設で分煙対策が義務になりました。分煙方法は大きく分けて以下の3種類の方法があります。それぞれのメリットや特徴について解説します。
対策 | メリット | 考慮すべきこと |
---|---|---|
1.敷地内全面禁煙 | ・完全に受動喫煙が防止できる ・喫煙設備に費用がかからない |
・喫煙者の理解が必要 ・ルール違反や、外部の喫煙所の混雑 |
2.屋外喫煙所の設置(屋内全面禁煙) | ・開放型喫煙所なら維持費が安価 ・喫煙室よりも受動喫煙防止効果が高い |
・屋外に敷地が必要 ・設置場所に注意が必要 |
3.屋内喫煙室の設置(空間分煙) | ・屋外に広いスペースが無くても設置可能 | ・コストが高い ・喫煙室からの煙の漏れに注意が必要 |
各分煙方法のポイント
1.敷地内全面禁煙
設備的には最も簡単な方法です。また、敷地内に喫煙者がいなくなるため、確実に受動喫煙を防止することができます。
一方で、喫煙者の負担が非常に大きい方法でもあります。敷地内で禁煙になったからといって喫煙者がすべて禁煙できるわけではないので、喫煙者から反発されるリスクもあります。さらに、事業所外の喫煙所の利用や路上喫煙が増加するなどのトラブルが発生する可能性も高く、喫煙難民を増やす恐れがあります。
2.屋外喫煙所の設置
屋内は全面禁煙にし、敷地内の屋外に喫煙所を設置する方法です。屋外喫煙所には、屋根のみの構造やパーテーションのみの構造の「開放系」と、屋根と壁で完全に囲われている「閉鎖系」があります。
開放系の方が排気装置などを設置する必要がない分、コストが安くなります。また、ドアや扉も設置していないため、不特定多数の人間でドアノブを触る必要がありません。そのため、新型コロナウイルスの接触感染のリスクが上がりにくいという特徴もあります。
弊社が販売している屋外喫煙所は基礎工事の必要のない「置き型」であるため、半日ほどで設置が完了するタイプもございます。
→屋外喫煙所
3.屋内喫煙室の設置(空間分煙)
一定の基準を満たす喫煙専用の部屋を設置し、それ以外の屋外と屋内を禁煙とする方法です。屋外や敷地外の喫煙所まで移動する必要がないため、喫煙者にやさしい方法と言えます。また、職場の人間専用の喫煙所であれば、社外秘の仕事に関することも話すことができるため、タバコミュニケーションで業務効率が上がる可能性もあります。
一方で、受動喫煙のリスクが最も高い方法でもあります。同じ建物内に喫煙室を設置するため、単純にビニールカーテンやのれん、パーテーションで仕切るだけでは煙が漏れてしまい、非喫煙者は副流煙に晒され続けてしまいます。このような状況を避けるために省令によって以下のような技術的基準が定められています。
1.出入口において室外から室内に流入する空気の気流が0.2m毎秒以上であること
2.たばこの煙(蒸気を含む。以下同じ。)が室内から室外に流出しないよう、壁、天井等によって区画されていること
3.たばこの煙が屋外又は外部に排気されていること
また、屋内喫煙所には「喫煙専用室」「指定たばこ専用喫煙室」「喫煙目的室」「喫煙可能室」の4種類あります。それぞれの特徴については以下のコラムをご覧ください。
喫煙室や喫煙ブースの種類と特徴【屋内外・目的室など】
実際に行われた受動喫煙対策の取組み事例
有限会社アクアテクニカル様
山口県の機械・電機関係の企業様です。もともと設置されていた屋外喫煙所を、非喫煙者の方が利用するスペースからさらに離し、受動喫煙の無い職場環境づくりに取り組まれています。それだけでなく、受動喫煙の健康被害を正しく理解するための社内セミナーを実施されています。
バー・オーガスタ・ターロギー様
大阪にある飲食店の対策です。元々は店内で喫煙可能だったそうですが、オーナー様の咳が止まらなくなったことをきっかけに店内を禁煙にされたそうです。その結果、「バーなのにタバコの臭いが気にならない」と評判になり、女性を中心に新しいお客様が増えました。
煙草を吸いたい方には、店外の喫煙スペースをご利用頂いています。先述した②の方法ですね。
ぴょんぴょん舎様
岩手県にある飲食店の対策です。以前は全面喫煙可能でしたが、お客様の「タバコの臭いが気になる」という声をきっかけに分煙対策を実施されたそうです。こちらでは③の方法を実践し、喫煙者・非喫煙者どちらの方にも不快な思いをさせないために、喫煙専用室を設置しました。喫煙所設置後も売上が下がることはなく、お客様の満足度と従業員の健康、どちらも守ることを達成しています。
状況にあった分煙対策を
業種やサービス内容によって最適な対策は異なっています。また、室内に喫煙室を設置する場合でも設置基準は複雑です。状況に合わない対策や、不十分な設備の喫煙室では逆効果になりかねません。ぜひ一度、専門家に相談し快適な労働環境を検討してみてはいかがでしょうか?