2021.03.02
喫煙と健康
子供が副流煙を吸うとどうなる?受動喫煙を防止するメリット
『なくそう!望まない受動喫煙。』をキャッチコピーに改正健康増進法が施行され、屋内は原則禁煙となりました。また、大人よりも子供の方がタバコの煙の影響を強く受けるため、20歳未満は喫煙所への入場が禁止になりました。では、実際どのような影響を受けるのでしょうか?
このコラムでは、医療機関などが発表しているデータを基に、子供や妊婦が受動喫煙で受ける影響をまとめています。ぜひご覧ください。
副流煙に含まれる有害物質
たばこの煙にはニコチンをはじめとした様々な有害物質が含まれていることが知られています。これを吸い続けると、肺がん、食道がん、脳卒中、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、糖尿病などの病気が発症しやすくなると厚生労働省が発表しています。
このリスクは喫煙者だけが負っているかというと、実はそうではありません。
たばこの煙には、喫煙者が口から直接吸う「主流煙」と、タバコの先端から立ち上る「副流煙」があります。主流煙と副流煙が混ざると「環境タバコ煙」と呼ばれるものになり、これを周りにいる非喫煙者が吸うことを「受動喫煙」といいます。
副流煙という名前から、主流煙よりは有害物質が少ない印象を持たれる方も多いようですが、むしろ逆です。副流煙に含まれる有害物質は主流煙と比較して、ニコチンは2.8倍、カドミウムは3.6倍、一酸化炭素は4.7倍、ホルムアルデヒドについては50倍も多いと報告されています。
タバコの有害性は、決して喫煙者本人だけの問題ではないということです。
受動喫煙の子供の身体への影響
子供は大人に比べて、呼吸器や中枢神経の発達が未熟であるため、タバコの影響を受けやすいとされています。
副流煙を吸った時の急性症状には、目のかゆみ・痛み・涙・まばたき・鼻づまり・くしゃみ・鼻水などがみられます。また、肺活量などの呼吸機能への影響も大きく、両親が喫煙者の場合は、両親が非喫煙者の場合に比べて、子供は約2.2倍の頻度で気管支炎や肺炎を起こします。他にも、中耳炎、虫歯、知能低下、低身長、アトピー性皮膚炎、風邪を引きやすくなるなど、様々なリスクが報告されています。
子供だけでなく妊婦にも影響がある
当たり前のことですが、妊娠中に母親がタバコを吸うと胎児に悪影響を及ぼします。子宮内発育遅延になる確率が2.07倍、出生体重が平均142g軽くなる、低出生体重児になる確率が1.59倍になると報告されています。
程度は軽くなりますが、受動喫煙の場合でも同じ影響があるとされています。
妊娠中の女性が職場や公共施設で受動喫煙してしまうと、胎児にも影響がでる可能性があり非常に危険です。
受動喫煙を防止するメリットは大きい
分煙対策が義務化されている背景には、これらの健康被害を回避する目的があります。自宅は家族の努力で改善できますが、職場は従業員の努力だけでは改善できません。経営者や管理者がリードして、現場の設備や意識を改善する必要があります。従業員とその家族を守る意味でも、分煙対策に力を入れてみてはいかがでしょうか?