2022.09.07
喫煙所コラム
オフィスに喫煙所を設置する場合の正しいルールとは?
オフィスでは、喫煙者と非喫煙者が混在しているのが一般的です。
そのため、オフィスには喫煙所が必要となる場合が多くなっています。
オフィスに喫煙所を設置する場合の正しいルールとは、どのようなものなのでしょうか?
今回のコラムでは、「オフィスに喫煙所を設置する場合の正しいルール」について解説します。
オフィスでの喫煙の歴史
現在のオフィスの喫煙所を設置する場合の正しいルールについて、解説する前にオフィスでの喫煙の歴史について、簡単に振り返ってみましょう。
1980年代くらいまでは、多くのオフィスで自由に喫煙をしていたようです。
ですが、1990年代に入ってくると、徐々に分煙化や禁煙の動きが広がっていきます。
2003年には、健康増進法が施行されて、オフィスなどでも分煙化が進められるようになりました。
また、2015年には労働安全衛生法が改正されて、職場における「受動喫煙防止」が事業者の努力義務となったのです。
努力義務となったことで、オフィスにおける分煙化もさらに進んだのですが、罰則はなくあくまでも努力義務でしかありませんでした。
そして、2020年4月1日からは、オフィスでも原則屋内禁煙というルールになりました。
労働安全衛生法では努力義務でしたが、こちらの健康増進法の一部を改正する法律では、受動喫煙防止がルール化されました。
現在では、原則屋内禁煙となっており、屋内で喫煙をするためには、一定の基準を満たした喫煙専用室などの設置が必要となっています。
受動喫煙防止がルール化されるまでは、オフィスでもある程度自由に喫煙が可能な状況でしたが、ルール化されてからは、オフィスで自由に喫煙ができる環境ではなくなっているのです。
健康増進法による喫煙ルールの改定
これまでの歴史の中では、オフィスで自由に喫煙ができた時代もありました。
しかし、現在では健康増進法によって、喫煙ルールが決められています。
受動喫煙防止がルール化されており、決められた場所での喫煙以外は認められていません。
健康増進法の一部が改正されましたが、この改正の基本的な考え方には、以下の3つのものがあります。
① 望まない受動喫煙をなくす
② 受動喫煙による健康への影響が大きい子どもや患者等に特に配慮する
③ 施設の類型・場所ごとに対策を実施する
また、喫煙ルールが改定され、次のように決められています。
病院や学校などの子ども、患者等に特に配慮が必要な施設においては、敷地内禁煙。
上記外の施設、事務所や工場、飲食店やホテルなどでは、原則屋内禁煙という喫煙ルールです。
第二種施設の屋外や個人の自宅などについては、規制の対象外となっていますが、配慮義務があります。
健康増進法では、それぞれの施設によって喫煙ルールが決められているということを理解しておきましょう。
オフィスでの分煙の課題と慰謝料請求問題
オフィスにおいては、完全禁煙とすると分煙を選択することができます。
一般的なオフィスでは、喫煙者と非喫煙者が混在していることが多いため、分煙を選択するところが多いです。
しかし、オフィスでの分煙には、さまざまな課題があります。
その課題とは、次のようなものです。
コストの問題
一般的なオフィスでは、一定の条件をクリアすれば、屋内に喫煙専用室などの設置が可能。
また、屋外に喫煙所を設置することもできます。
ただし、屋内もしくは屋外に設置するには、どうしてもコストがかかるのです。
屋内に設置する場合には、一定の基準をクリアしなければならないため、コスト面での負担が気になることでしょう。
スペースの問題
最初にコスト面での課題を挙げましたが、その他にも課題があります。
その課題とは、設置するためのスペースの問題です。
すでに解説しているように、屋内もしくは屋外に設置することができますが、設置するのに必要なスペースを確保できない場合もあります。
移動に時間がかかる
とくに、屋外に設置するという場合には、移動に時間がかかるという課題もあるでしょう。
移動するのに時間がかかると、移動するだけで休憩時間が短くなってしまうなど、喫煙者が不満を感じてしまう可能性があります。
たばこの煙や臭いが漏れ出している
分煙を行う際によく問題となるのが、たばこの煙や臭いが漏れ出してしまうというものです。
喫煙専用室などを設置しても、そこからたばこの煙や臭いが漏れ出してしまっては、非喫煙者からのクレームにつながります。
設置場所や周囲の状況を把握していない、十分な対策を行っていないケースもあるようです。
喫煙ルールを守らない喫煙者がいる
オフィスでの喫煙ルールについては、周知徹底を行う必要がありますが、周知徹底を行っていても、喫煙者の中にはルールを守らない人もいます。
例えば、喫煙が認められていない場所で喫煙をしてしまうなどの問題です。
喫煙ルールを守らない喫煙者が一人でもいると、非喫煙者からのクレームが増加してしまう可能性があります。
オフィスでの分煙に関する課題について解説しましたが、もう一つ理解しておかなければいけないことがあります。
それは、十分な対策を行っていない場合には、従業員から慰謝料請求など訴訟を起こされてしまう可能性があるということです。
大手住宅メーカーでのケース
このケースでは、大手住宅メーカーで働いていた女性が、職場における受動喫煙対策が不十分で健康被害を受けたということで、会社側を相手に賠償を求めて訴訟を起こしています。
このケースでは、会社側が女性に対して解決金として、約350万円を支払うことで和解。
(参考 https://mainichi.jp/articles/20160604/k00/00m/040/198000c)
自動車教習所でのケース
このケースでは、自動車教習所に勤めていた男性が、受動喫煙被害によって持病の心臓病が悪化したとして運営会社を相手に損害賠償を求めて訴訟を起こしています。
また、このケースでは会社側が男性に対して、解決金100万円を支払い調停が成立。
(参考 https://www.kanaloco.jp/news/social/entry-75978.html)
上記に挙げたように、受動喫煙を防止するための十分な対策が行われていなければ、会社側は従業員から訴訟を起こされる可能性があります。
設置可能な喫煙室タイプと事業者
第二種施設においては、原則屋内禁煙となっていますが、喫煙が可能となる4つの喫煙室の設置が認められているのです。
ここでは、その4つの喫煙室のタイプと設置が可能な事業者について解説します。
喫煙専用室
名称からも想像することができるように、喫煙だけが可能なタイプです。
飲食等はできないルールで、施設の一部に設置が可能となっています。
一般的な事業者が設置を行うことができます。
加熱式たばこ専用喫煙室
こちらは、喫煙可能なのが加熱式たばこに限定されているという点がポイントです。
また、喫煙専用室とは異なり、飲食等が可能となっています。
施設の一部に設置が可能です。
さらに、一般的な事業が設置可能となっています。(経過措置)
喫煙目的室
喫煙目的室は、喫煙が可能で、飲食(主食を除く)が可能となっています。
施設の全部または一部に設置することが可能です。
ただし、設置できる事業者については、喫煙目的施設に限定されています。
そのため、一般の事業者が設置することはできません。
喫煙可能室
喫煙可能室は、喫煙と飲食等が可能なタイプとなっています。
また、施設の全部、または一部に設置可能。
それから、設置できる事業者についてですが、こちらは既存特定飲食提供施設が設置可能となっています。(経過措置)
設置可能な喫煙室タイプの4つのタイプについて解説しました。
それぞれ、できることが違うということがわかります。
また、設置が可能な事業者も異なるという点に注意が必要です。
一般的な事業者であれば、喫煙専用室もしくは加熱式たばこ専用喫煙室の設置が可能となっています。
一定の基準を満たした屋内喫煙所か屋外喫煙所の設置が可能
一般的なオフィスでは、屋内であれば喫煙専用室や加熱式たばこ専用喫煙室の設置が可能です。
ただし、設置する場合には一定の技術的基準をクリアしなければなりません。
その基準とは、次のようなものです。
・出入口における室外から室内への風速が0.2m/s以上であること
・壁や天井などによって区画されていること
・たばこの煙が屋外に排気されていること
上記のような基準をクリアしなければ、設置ができないことになっています。
もしも、屋内に喫煙専用室などを設置したいという場合には、基準をクリアしたものを設置するようにしましょう。
また、屋内だけでなく屋外に喫煙所を設置することができます。
オフィスなどの第二種施設では、屋内については規制の対象となっていますが、屋外については規制の対象外となっているのです。
そのため、屋外に喫煙所を設置することもできます。
ただし、屋外においては規制の対象外となっていますが、規制の対象外でも配慮義務があるのです。
配慮義務については、喫煙者はもちろんですが、施設の管理者にも求められます。
喫煙をする際や灰皿などを設置する際には、周囲の状況をしっかりと確認して、受動喫煙を防止する必要があるのです。
配慮義務については、しっかりとした定義が書かれているわけではありませんが、配慮を怠ってしまうと、大きなトラブルや訴訟に発展してしまう可能性があります。
訴訟に発展した場合には、企業にとって大きなマイナスとなりますし、信頼を失う可能性もあるため、しっかりと配慮を行っておきましょう。
屋内喫煙所・屋外喫煙所それぞれのメリット・デメリット
喫煙者と非喫煙者が混在している中では、屋内もしくは屋外に喫煙所を設置することになります。
しかし、どちらに設置すればよいのか?と頭を悩ませてしまう人も多いでしょう。
そこで、ここではそれぞれのメリットとデメリットについて解説します。
【屋内に設置する場合】
(メリット)
・移動が少なくて済む
・天候に左右されない
屋内に設置するメリットとしては、喫煙者の移動距離が少なくて済むという点です。
屋外に設置している場合には、喫煙をするためにわざわざ屋外に移動しなければなりません。
そのため、喫煙者にとっては負担となってしまうこともあります。
ですが、屋内であれば移動する時間も短縮されますし、利用しやすいというメリットがあるのです。
また、大きなメリットとして挙げられるのが、天候に左右されることがないということ。
屋外に設置している場合には、晴れていれば利用することもできますが、雨や雪などの天候が悪い状態では、利用できないケースもあります。
しかし、屋内であれば屋根がありますし、天候に左右されることなく利用できるので、喫煙者にとっては大きなメリットと言えるでしょう。
(デメリット)
・屋外に設置するよりもルールが厳しい
・設置するための費用が屋外に設置するよりもかかる場合がある
大きなデメリットとしては、屋外に設置する場合と比較するとルールが厳しいという点です。
すでに解説しているように、屋内に設置するには技術的基準をクリアしなければなりません。
反対に、第二種施設における屋外については、規制の対象外となるため厳しいルールはないのです。
そのため、厳しいルールをクリアしなければならない点がデメリットと言えるでしょう。
もう一つ大きなデメリットとして挙げられるのが、屋外に設置する場合と比較するとコストがかかることが多いという点です。
屋内に設置する場合には、壁やパーテーションなどによって区画しなければなりませんので、設置費用が高くなってしまう場合があります。
【屋外に設置する場合】
(メリット)
・屋内のような厳しいルールがない
・非喫煙者からのクレームにつながりにくい
屋外に設置する場合の大きなメリットとしては、屋内のような技術的基準などの厳しいルールがないということです。
もちろん、周囲への配慮は必要となりますが、比較的設置しやすいというのが大きなメリットと言えるでしょう。
それから、もう一つ大きなメリットとして挙げられるのが、非喫煙者からのクレームにつながりにくいということです。
屋内に設置する場合には、どうしてもたばこの煙や臭いなどが漏れ出して、非喫煙者からのクレームにつながる場合があります。
ですが、屋外の適切な場所に設置すれば、屋内にたばこの煙や臭いなどが届きにくくなるため、クレームにつながるリスクを大幅に低減することができるのです。
こちらも大きなメリットと言えるでしょう。
(デメリット)
・移動までに時間がかかる
・天候によっては使えない可能性がある
大きなデメリットとして挙げられるのは、やはり移動するまでに時間がかかるということです。
喫煙者は、喫煙をするために、わざわざ屋外に行かなければなりません。
移動時間がかかると休憩時間が短くなるなど、喫煙者から不満の声が挙がる可能性があります。
さらに、屋外に設置している場合には天候によって使えない可能性があるでしょう。
もちろん、屋根付きのものを設置するという方法もありますが、屋外喫煙所に向かうまでに、屋根のない場所を通るという場合には、濡れてしまうので使えないという恐れもあります。
天候によって大きく左右されてしまうのは、喫煙者にとって大きな不満となるでしょう。
設置場所には十分な注意が必要!とくに「煙」に注意!
屋内と屋外のどちらに設置する場合でも、ルールに基づいて設置を行う必要があります。
また、設置する際にはさまざまな点に注意が必要です。
とくに注意しておきたいのが、たばこの煙について。
屋外に設置する場合には、厳しいルールがないということから、間違った場所に設置してしまう恐れがあります。
次のような場所に設置してしまうと、トラブルになるリスクが高まるため注意が必要です。
・建物の出入口付近
・人通りの多い場所
建物の出入口付近では、風でたばこの煙が建物内に流れ込んでしまう可能性があります。
また、非喫煙者など人が多く通る場所に設置してしまうと、受動喫煙のリスクが高まるでしょう。
そのため、そのような場所に設置することは避ける必要があります。
利用人数にあわせてサイズやタイプを選べる!
弊社では、さまざまなタイプの喫煙所を販売、設置しております。
利用する人数や設置場所にあわせて、サイズやタイプを選べるのが魅力です。
さらに、分煙コンサルタントを配置しておりますので、分煙に関するご相談や喫煙に関するお悩みなど、お気軽にご相談ください。
オフィスにおける喫煙者と非喫煙者の共存を可能にするためのサポートを行っております。
▼導入実績はコチラから
施設別導入事例
まとめ
オフィスに喫煙所を設置する場合には、正しいルールに基づいて設置を行う必要があります。
屋内に設置する場合には、一定の基準を満たす必要があるのです。
さらに、屋外に設置する場合にも配慮義務がありますので、配慮義務を怠らないようにすることが重要となります。
弊社では、屋内・屋外向けの喫煙所の販売、設置を行っておりますので、お気軽にご相談ください。