2022.08.01
分煙対策・受動喫煙対策
サードハンドスモークにはどのような害があるのか?対策は?
皆さんは、「サードハンドスモーク」という言葉を知っていますか?
よく知らないという人が多いでしょう。
サードハンドスモークは、新しい概念ですが、覚えておきたいものになります。
とくに、妊婦や子供への影響が大きいと言われていますので、注意が必要です。
今回のコラムでは、「サードハンドスモークにはどのような害があるのか?」「被害を防ぐための対策」について解説します。
壁紙、服、髪の毛などに付着した有害物質を吸い込むこと
「サードハンドスモークの害や対策」について解説する前に、知っておきたいのが「サードハンドスモークとは何か?」です。
その場所に残留している化学物質を吸引してしまうことをいいます。
さらに、簡単に具体的な場面を挙げて解説すると、次のようなもののことです。
・喫煙者が吐いた息
・喫煙者の衣服
・喫煙者の髪の毛
・喫煙者の手指
・喫煙した部屋の壁紙やカーテン
上記に挙げたようなものでは、たばこの火が消えていたとしても、有害な成分が残留することが知られています。
この残留している有害な成分を吸い込んでしまうのが、サードハンドスモークです。
残留している有害な成分については、目で見ることはできません。
そのため、その場所に存在しているかどうかがわからないという問題があります。
注意しておきたいのは、自分が想像しているよりも、ずっと多くの場所に有害な成分が残留してしまっているということです。
喫煙者と一緒に住んでいる場合には、十分な注意が必要と言えます。
サードハンドスモークの害
サードハンドスモークについて解説しましたが、ここで気になるのが、どのような害があるのか、についてです。
このサードハンドスモークについては、新しい概念となっており、研究が少なく、具体的に健康にどのような害があるのか、などは明らかになっていません。
ですが、有害な成分を吸引してしまうことを考えると、やはり健康面で大きな悪影響を及ぼす可能性があると考えることができるでしょう。
今後は研究が進んでいけば、もっと具体的にどのような影響があるのか、どのような病気のリスクが高まるのか、などが判明するはずです。
不明確な部分が多く、現在では何とも言えない部分が大きいですが、健康面でのリスクを考えて、早めに対策を行っておくのがよいでしょう。
妊婦や子供への影響
サードハンドスモークについては、影響を受けやすいと言われているのが、妊婦や子供です。
とくに、子供への健康被害が懸念されています。
乳幼児の場合には、部屋の中で過ごす時間が長くなるため、影響を受けやすいと考えられているのです。
さらに、乳幼児の場合には、床面やカーペットなどに接触するケースが多くなっています。
家庭内に喫煙者がいるという場合には、そこに残留している有害な成分の影響を受けやすくなると考えられているため、十分な注意が必要です。
また、喫煙者の場合には、喫煙後にすぐに子供に近づかないようにする必要もあるでしょう。
喫煙後にすぐに子供を抱っこしてしまうと、残留している有害な成分の影響を受けてしまう可能性が高まります。
ですから、子供がいる家庭で、喫煙をしている場合にはその影響についてよく考えておきましょう。
とくに、乳幼児の場合には自分の意志で行動することは難しいと言えます。
たばこの煙や臭いがするような場所に、子供連れて行かない、近づけさせないことが非常に重要と言えるでしょう。
両親のどちらかが喫煙者である場合や喫煙者と生活しているという場合には、子供は影響を受けやすいことを理解して、大人が守ってあげることが必要です。
たばこの臭いがついた衣服は洗濯する、子供の前では喫煙をしないなどの対策も重要となるでしょう。
その他では、施設によって禁煙ルールが異なりますので、健康面の影響を考えて、全面禁煙の施設を選ぶなども対策として挙げられます。
一定時間立ち入り禁止、エレベーターの使用禁止等の対策
一般的な職場などでは、喫煙者と非喫煙者が混在していますので、両者が快適に働ける環境を作るためにも、しっかりとした対策が必要となります。
具体的な対策は、次のようなものです。
・喫煙後45分間はエレベーターの使用や入室を禁止する
・喫煙者にマスクをさせる
・喫煙した後に違う服に着替えさせる
・喫煙後にシャワーを浴びる
喫煙後の喫煙者の呼気には、多くの有害な成分が含まれているそうです。
そして、通常の状態、つまり他の人に大きな影響を与えることがないと考えられる状態に戻るまでに45分程度かかると言われています。
そのため、喫煙後はエレベーターや施設内への立ち入り、入室を一定時間禁止しているところもあるようです。
その他の対策では、喫煙者にマスクをさせて、呼気に含まれる有害成分の拡散を抑えるといった対策も行われています。
サードハンドスモークとは何か、で解説したように喫煙後の喫煙者の衣服や髪の毛には、有害な成分が残留してしまうため、着替えをさせる、あるいはシャワーを浴びてもらうなどの対策もあるようです。
妊婦や子供への影響がとくに大きいと考えられていますので、妊婦や子供が多く訪れるような場所では、このようなサードハンドスモーク対策、受動喫煙防止対策が必須と言えるでしょう。
職場での対策は難しいが、喫煙者の意識を高めることが大切
さきほどは、職場での具体的な対策について解説しました。
これから対策を検討しようという企業もあるでしょうが、現実では職場での対策は難しいと言えます。
もちろん、職場を完全禁煙してしまうという方法もありますが、そうなると喫煙者と非喫煙者が混在する環境では、喫煙者の不満が大きくなってしまうでしょう。
具体的な対策としては、一定時間エレベーターを使用禁止にする、入室をさせないなどの対策を挙げましたが、使用しなければいけない場合もありますし、入室させないと業務に影響が出る場合もあります。
さらに、着替えやシャワーを浴びるという対策についてですが、毎回職場に着替えを持ち込むのは負担となってしまいますし、シャワー設備が整っている企業というのは、それほど多くないでしょう。
喫煙のたびに、着替えやシャワーを浴びることを求めるという対策は、現実的な対策とは言えません。
対策だけでなく、大切なのは共存を可能にするために、喫煙者に高い意識を持ってもらうということです。
喫煙者には、サードハンドスモークについてもしっかりと周知徹底を行い、非喫煙者に大きな影響が出ないように配慮させることが重要となります。
また、当然ですが望まない受動喫煙を防止することも必要です。
誤った認識では被害を防げない!
それから、サードハンドスモークの害を防止するためには、正しい知識を身につけることも重要となります。
空気清浄機について
喫煙後は、有害な成分が残留してしまうと聞くと、「空気清浄機を設置すればよいのではないか?」と考える人もいるでしょう。
しかし、それは大きな間違いと言えます。
空気清浄機では、ガス状の成分を除去できないことがわかっているからです。
そのため、部屋の中に空気清浄機を設置すれば、サードハンドスモークを防げると考えるのは、大きな間違いと言えるでしょう。
消臭剤について
たばこの臭いが苦手という方も多いと思いますが、消臭剤を置くことでたばこの臭いを消臭することができます。
ですが、臭いを消すことはできても、有害な成分を分解・除去しているわけではありません。
ベランダや屋外での喫煙について
有害な成分を残留させないということを考えると、ベランダや屋外での喫煙を考える人もいます。
しかし、ベランダで喫煙していても、隙間から室内に煙が流れ込んできますし、そもそもすでに解説しているように喫煙後も喫煙者の呼気には45分程度有害な成分が含まれています。ベランダや屋外であれば、十分な対策になるとは言えないでしょう。
また、賃貸物件の場合には、ベランダでの喫煙によって周囲の部屋にたばこの煙が流れ込む可能性があります。
大きなトラブルになることもあるためベランダでの喫煙は避けるべきです。
換気扇について
換気扇のある場所で、喫煙をすれば大丈夫と考える人もいるようですが、これも誤った認識であると言えます。
たしかに、換気扇があれば屋外に煙は排出されますが、すべてが排出されるわけではありません。
当然ですが、屋内で吸っている限り、有害な成分が残留することになります。
加熱式たばこや電子タバコについて
喫煙者の中には、紙巻たばこではなく、加熱式たばこや電子たばこを吸えば、大きな問題はないと考える人もいるでしょう。
しかし、こちらについても誤った認識と言えます。
加熱式たばこや電子たばこも有害性がありますので、他の人への健康被害を生じさせるリスクを否定することはできません。
喫煙者の中には、自分な非喫煙者に配慮している、注意しているから問題ないと考えている人もいるでしょうが、その認識が誤っている可能性があります。
喫煙者と非喫煙者の共存を可能にするためには、まず喫煙者がサードハンドスモークや受動喫煙についての正しい認識を持つことが大切です。
そして、正しい認識を持ったうえで、それぞれに必要な対策を行っていきましょう。
まとめ
サードハンドスモークとは、残留している有害な成分を吸引してしまうこと。
喫煙者の髪の毛や衣服、手指や壁紙など様々なところに、有害な成分が残留しています。
非喫煙者への影響をできるだけ小さくするためには、正しい認識を持つことはもちろんですが、対策を行うことが大切です。
とくに、妊婦や子供への影響が大きいと考えられているため、注意しておきましょう。
多くの人が使用する施設や妊婦・子供が使用する施設では、対策が必要となります。
それから、誤った認識で対策を考えるのは避けなければなりません。
正しい認識を持ちましょう。
意識の向上が欠かせません。