2024.08.01
喫煙所コラム
受動喫煙の影響について正しく理解することが重要!
皆さんは、「受動喫煙の影響」について正しく理解していますか?
喫煙は、たばこを吸っている人だけでなく、周囲の人にも大きな影響を与えるものです。
そのため、受動喫煙の影響を正しく理解して、法律やマナーを守ることが重要となります。
今回のコラムでは、「受動喫煙の影響」や「受動喫煙を防止するための法律」について、見ていきましょう。
受動喫煙の影響
たばこは、吸っている人だけでなく、周囲の人の健康にもさまざまな悪影響を及ぼすと言われています。
とくに、大きな影響を受けると言われているのが、子どもです。
では、具体的に健康にどのような影響を受ける可能性があるのでしょうか?
次のような影響を与える可能性があると言われています。
・喘息
・乳幼児突然死症候群(SIDS)
最も危険なのが、SIDSです。
これは、事故や窒息などの原因ではなく、赤ちゃんが眠っている間に死亡してしまう病気のこと。
SIDSの要因と考えられているのが、受動喫煙です。
また、子どもだけでなく妊婦も次のような大きな影響を受ける可能性があります。
・低出生体重
・胎児発育遅延
さらに、子どもや妊婦だけでなく、大人も次のような大きな影響を受ける可能性があるのです。
・肺がん
・虚血性心疾患
・脳卒中
日本では、受動喫煙が原因で年間約15,000人が死亡していると言われています。
ですから、たばこは吸っている本人だけでなく、周囲の人の健康にもさまざまな悪影響を及ぼすことがわかるでしょう。
(参考:e-ヘルスネット 受動喫煙 他人の喫煙の影響)
受動喫煙を防止する法律とは
最初に、受動喫煙によるさまざまな影響について解説しました。
死亡するリスクもあるため、受動喫煙を防止する必要があります。
そこで、覚えておきたいのが、「受動喫煙を防止する法律」についてです。
「健康増進法の一部を改正する法律」
望まない受動喫煙の防止を図るための法律で、多数の人が利用する施設などの区分に応じて、利用者に対して、一定の場所を除いて喫煙を禁止させ、施設などの管理権限者が講ずべき措置等について定められている法律です。
また、この法律では、基本的な考え方として、次の3つが示されています。
① 「望まない受動喫煙」をなくす
② 受動喫煙による健康影響が大きい子ども、患者等に特に配慮
③ 施設の類型・場所ごとに対策を実施
(出典:健康増進法の一部を改正する法律概要)
違反した場合には、「指導」が行われ、指導に従わない場合には、勧告や命令が行われます。
さらに、改善されない場合には、過料の罰則が適用されるのです。
労働安全衛生法
この法律は、職場での労働者の安全や健康を確保し、快適な職場環境の形成を促進することを目的とした法律となっています。
労働安全衛生法の第68条の2には、(受動喫煙の防止)について書かれているのです。
事業者は、室内又はこれに準ずる環境における労働者の受動喫煙(健康増進法(平成十四年法律第百三号)第二十八条第三号に規定する受動喫煙をいう。第七十一条第一項において同じ。)を防止するため、当該事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
(出典:労働安全衛生法の第68条の2)
それから、第71条でも次のように書かれています。
国は、労働者の健康の保持増進に関する措置の適切かつ有効な実施を図るため、必要な資料の提供、作業環境測定及び健康診断の実施の促進、受動喫煙の防止のための設備の設置の促進、事業場における健康教育等に関する指導員の確保及び資質の向上の促進その他の必要な援助に努めるものとする。
(出典:労働安全衛生法 第71条)
第68条の2では、受動喫煙を防止するために必要な対策を講ずること、第71条では、受動喫煙の防止のための設備の設置の促進について、書かれています。
ただし、労働安全衛生法の受動喫煙に関する規定については、「努力義務」です。
この点が、健康増進法の一部を改正する法律との大きな違いと言えるでしょう。
日本の受動喫煙を防止する法律では、紹介した2つの法律について覚えておく必要があります。
施設によってルールが異なる!
さきほどは、日本の受動喫煙を防止する法律を2つ紹介しました。
とくに、覚えておかなければいけないのが、健康増進法の一部を改正する法律についてです。
その理由は、違反した場合の罰則が設けられているため。
そのため、施設の管理者などは、施設によって異なるルールを正しく理解する必要があります。
まず、施設についてですが、第一種施設と第二種施設があり、ルールが異なるのです。
第一種施設とは、子どもや患者などに特に配慮が必要な施設。
例えば、学校や病院、児童福祉設や行政機関の庁舎などです。
第一種施設のルールは、「敷地内禁煙」となっており、屋内での喫煙はできません。
また、屋内に喫煙場所を設置することもできないルールです。
屋外については、特定屋外喫煙場所の設置が認められており、設置していれば、特定屋外喫煙場所での喫煙が可能。
ですが、それ以外の場所では禁煙となっています。
敷地内に駐車している自分の車で喫煙をするなどもできません。
第二種施設よりも厳しいルールとなっているのが特徴です。
第二種施設とは、事務所や工場、飲食店や宿泊施設などが該当します。
第二種施設のルールは、「原則屋内禁煙」です。
屋内に、一定の基準をクリアした喫煙専用室を設置すれば、屋内での喫煙も可能となっています。
喫煙専用室等以外での場所では禁煙です。
それから、第一種施設との大きな違いとして挙げられるのが、第二種施設の「屋外」については、規制の対象外となっているということです。
第一種施設は、屋内と屋外の両方が規制の対象となっていますが、第二種施設では、屋内のみが規制の対象となります。
法令では規制の対象外であっても配慮義務がある
施設によってルールが異なると解説しました。
とくに、多くの人に関係する第二種施設では、「屋外」は規制の対象外となっています。
規制の対象外と聞くと、自由に喫煙が認められていると、間違った理解をしてしまう人もいるでしょう。
しかし、例え規制の対象外となっている場合でも、「配慮義務」があります。
配慮義務については、喫煙者と施設管理者の両方に配慮義務があるのです。
配慮については、明確に規定はされていませんが、一般的には、次のような配慮を行うのがよいとされています。
【喫煙者の配慮】
・喫煙をする際は、周囲にできるだけ人がいない場所で行う
・子どもや患者などのとくに配慮が必要な人の近く、多く集まる場所での喫煙はしない
・出入口付近などでの喫煙はしない
第二種施設の場合、屋外は規制の対象外ということで、屋外で喫煙をする人も多いと思います。
ですが、出入口付近での喫煙はしないようにしましょう。
出入口付近で喫煙をすると、建物内にたばこの煙やニオイなどが流入する可能性があるからです。
また、マンションのベランダなどでも同様に注意が必要と言えるでしょう。
マンションのベランダで喫煙をすると、周囲の部屋に煙やニオイが流入する可能性があります。
【管理者の配慮】
・人通りの多い場所に灰皿を設置しない
・灰皿を設置するのは、営業時間のみとして、営業時間外は片付ける
・周囲への対策として、パーテーションなどを設置して、たばこの煙が流れるのをできるだけ防ぐ
・喫煙者が密集してしまうことに注意する
とくに、注意しておきたいのが、「設置場所」についてです。
どこに設置してもよいということではなく、周囲の状況に注意しなければなりません。
人通りの多い場所に設置してしまうと、受動喫煙のリスクが高まってしまいます。
そのため、できるだけ施設の利用者が立ち入らない場所などに設置するのがよいでしょう。
配慮義務を怠ると大きなトラブルになる!
規制の対象外でも、配慮義務があると解説しました。
なぜ、配慮義務について理解しなければならないのでしょうか?
その理由は、配慮義務を怠ると大きなトラブルになる可能性があるからです。
具体的なトラブルとは、次のようなトラブル。
・喫煙者と非喫煙者のトラブル
・喫煙に関するクレームの増加
・訴訟を起こされるリスク
最も起こりやすいトラブルとして、考えられるのが、喫煙者と非喫煙者によるトラブルです。
すでに解説しましたが、受動喫煙により、健康被害のリスクがあるため、非喫煙者は望まない受動喫煙を防止したいと考えるのが一般的。
しかし、喫煙者が何の配慮もしなければ、望まない受動喫煙のリスクが高まってしまいます。
このため、喫煙者と非喫煙者が口論となり、トラブルになる可能性があるのです。
さらに、口論となるだけでなく、暴行事件に発展する場合もあります。
実際に、喫煙をめぐるトラブルにより、暴行事件が起きているのです。
このようなトラブルを防止するためには、喫煙者の配慮が必要と言えるでしょう。
また、喫煙に関するクレームの増加も考えられます。
最近では、マンションのベランダにおける喫煙も大きな問題となっているようです。
施設管理者にとって、喫煙に関するクレームの増加は、デメリットしかないでしょう。
施設であれば、喫煙に関するクレームを放置すれば、売り上げの低下、利用者の激減などのリスクがあります。
さらに、売り上げの低下や利用者の激減だけでなく、クレームを受けると従業員の負担も大きくなるでしょう。
とくに、従業員の精神的な負担は大きくなってしまい、離職などにもつながる恐れがあります。
インターネットが普及している現在では、施設を利用する前に、インターネットを使って情報収集するのが一般的です。
口コミを参考に、施設を選ぶ人も多いでしょう。
喫煙に関するクレームが増加すると、口コミにもそのようなものが書き込まれる可能性が高まります。
その結果として、利用者が激減してしまうと、回復させるのは困難となる恐れがあるのです。
灰皿の設置場所や喫煙ルールなどについては、しっかりと検討する必要があります。
その他で注意しておきたいのが、「訴訟のリスク」です。
訴訟に発展してしまった場合には、金銭的な負担も大きくなってしまう可能性があります。
訴訟に発展してしまった場合には、1人で解決するのが困難となるため、弁護士に費用を支払って依頼しなければなりません。
さらに、裁判の結果、敗訴が確定すれば、損害賠償金の支払いが必要となるでしょう。
大きな金銭的な負担となってしまいます。
ここまで解説してきたように、配慮義務を怠ると、大きなトラブルになる可能性が高いため、喫煙者と施設管理者などは、配慮義務を怠らないようにすることが大切です。
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正しいルールとマナーを守らせることが重要
喫煙をめぐるトラブルは、テレビのニュースや新聞などでも度々取り上げられています。
日常生活の中では、喫煙者と非喫煙者が混在しているのが一般的ですので、両者にとって快適に暮らせる環境を構築することが必要です。
そのためには、正しいルールとマナーを守らせることが重要となります。
喫煙者はもちろんですが、施設の管理者も施設ごとに決められた、正しいルールを理解しておきましょう。
それから、正しいルールやマナーについては、自分だけが理解すればよいというものではありません。
看板・ポスター・チラシなどを上手く活用して、周知徹底するのがよいでしょう。
これまでは、配慮義務についてあまり意識していなかった喫煙者・施設管理者の方は多かったと思います。
ですが、今回のコラムで解説しているように、配慮義務を怠るとさまざまなリスクがあり、メリットはありません。
とくに、施設の場合には、喫煙をめぐるトラブルによって、売り上げの低下や信用を失う可能性があるため注意が必要です。
ですから、配慮義務を怠らないようにすること、正しいルールやマナーを守ることを心がけて生活していきましょう。
正しいルールやマナーを守ることで、喫煙者と非喫煙者の共存が可能となるのです。
まとめ
受動喫煙は周囲の人の健康にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、望まない受動喫煙を防止することが必要です。
望まない受動喫煙を防止するためには、施設ごとに決められているルールやマナーを守ることが大切となります。
さらに、規制の対象外となっている場所でも、配慮義務を怠らないように注意が必要です。
喫煙者はもちろんですが、施設管理者もしっかりと覚えておきましょう。