2021.05.25
喫煙と健康
健康経営と受動喫煙対策。企業がオフィスで実践すべきポイント
現代の企業経営においては、従業員の健康を守る「健康経営」が重要視されています。従業員のメンタルヘルス対策や受動喫煙防止がその最たる例です。しかし、健康経営の概念自体、未だ歴史は浅く、その全容は分からないかもしれません。
そこでこの記事では健康経営の概要や実施方法について、経済産業省などの情報をもとに解説します。主に受動喫煙対策に焦点を当てるので、喫煙環境を整備したい経営者の方は是非ご確認ください。
健康経営とは
「健康経営」とは、経営的な観点から従業員の健康管理を実践することです。平たく言うと、企業が従業員の健康管理に投資することで、将来的な収益性を増加させる経営手法です。この概念が注目されるようになった背景として、日本企業の従業員の健康状態悪化が挙げられます。具体的には、従業員が不健康になることで以下のような問題が発生しています。
・従業員の生産性、集中力が下がる
・人材の定着率が悪い
・有能な人材が確保できない
・国民医療費増大による健康保険料の上昇
従業員の心身に何らかの不調がある場合は、長期休暇に繋がる可能性があります。また、作業スピードが低下し、ミスも増えることでしょう。さらには、対外的な企業イメージも悪化するので、人材の確保がより困難になります。
逆に言うと、これらの課題を健康経営によって解決することで、生産性向上やポジティブなブランディング効果が期待できます。現在は健康経営に取り組む企業を評価・選定するシステムもあるので、健康経営に取り組むメリットは大きいです。
※出典:経済産業省「健康経営の推進」
※出典:経済産業省「企業の「健康経営」ガイドブック~連携・協働による健康づくりのススメ~(改訂第1版)」
健康経営と喫煙の関係性
数ある健康経営の中でも受動喫煙対策は特に重要です。なぜならば受動喫煙の健康影響は深刻であり、日本では年間およそ1万5千人が受動喫煙が原因で死亡しているからです。厚生労働省は、受動喫煙が人体に与える影響について公開しており、以下の4疾患との関連が「確実」とされています。
・肺がん
・虚血性心疾患
・脳卒中
・乳幼児突然死症候群(SIDS)
4つ目のSIDSに関しては乳幼児の疾患ですが、いずれも命に関わる疾患です。そのため適切な受動喫煙対策で、非喫煙者が健康被害を受けるリスクを無くさねばなりません。
受動喫煙対策に関連して、健康経営に戦略的に取り組む企業には「健康経営銘柄」あるいは「健康経営優良法人」に選定されるシステムがあります。そして、その選定要件に受動喫煙対策が含まれているのです。そのため、全ての事業場では「敷地内禁煙」、「屋内全面禁煙」、「敷地内での空間分煙(喫煙室)」のいずれかを選択することが大切です。ここからは具体的な受動喫煙の防止策を解説します。
※出典:厚生労働省「受動喫煙 – 他人の喫煙の影響」
※出典:経済産業省「健康経営の推進及び「健康経営銘柄2021」「健康経営優良法人2021」について」
受動喫煙の防止策1:全面禁煙
施設の敷地内あるいは屋内を全面禁煙とする方法です。受動喫煙の防止に関しては、基本的に「全面禁煙」と「分煙」の2つから選ぶことになりますが、全面禁煙は受動喫煙のリスクをゼロにできるのが特徴です。
■全面禁煙のメリット
・受動喫煙の完全防止
・コストがかからない
・喫煙者の禁煙を促進する
手軽に受動喫煙を防止可能で、なおかつ喫煙者の禁煙を促す効果が認められています。実際に職場での全面禁煙がもたらす影響について調べた研究(2002)では、喫煙率が4%低下し、喫煙本数は29%減少することが示されています。更に、他の研究(2009)では建物内が全面禁煙になることで、急性心筋梗塞の減少に加え、室内のニコチン・粉塵濃度、唾液・尿中ニコチン濃度が減少したことが確認されています。これらの研究結果から、職場の全面禁煙によって健康被害が減少することが期待できます。
しかしながら、全面禁煙には以下のようなデメリットもあります。
■全面禁煙のデメリット
・社内に喫煙者が多い場合は従業員の不満が募りやすい
・優秀な従業員(喫煙者)が退職する可能性がある
以上のように、全面禁煙は社内に喫煙者が少ない場合には有効な手段である一方、喫煙率が高い企業では人材流出に繋がるリスクがあります。喫煙者・非喫煙者双方の利益を尊重したい場合には、喫煙所の設置(分煙)を選択する方が良いでしょう。
※出典:厚生労働省「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」
※出典:厚生労働省「職場の全面禁煙の効果」
受動喫煙の防止策2:屋内に喫煙室を設置
屋内に喫煙室を設置して分煙する方法です。全面禁煙と異なり、初期コストはかかりますが、喫煙者・非喫煙者の両方が過ごしやすい環境を整備することが可能です。弊社ではホテルや式場などに屋内型の喫煙室を導入した実績があるので、その事例の1つを簡単にご紹介します。
・概要
分煙化によってファミリー層や女性のお客様が過ごしやすい環境を整備しました。各室のリニューアルを機に、全室禁煙に変更し、同時に喫煙室を設置して、常連の喫煙者の方の理解も得ました。
・導入した製品
「スタンダード」という喫煙室を導入しました。その際、実績・経験豊富な分煙コンサルタントが換気容量やパーテーション等の設計を行いました。加えて、適切な空気の流れを作りだすことで、煙が出入り口から外に漏れるリスクを回避しています。なお、喫煙室入り口の風速は厚労省の基準をクリアしています。
こちらの事例では客層やオリンピック開催を考慮して、喫煙室を導入しました。主な目的はお客様の過ごしやすさを実現することですが、結果的に従業員の健康被害減少も期待されます。
・備考
ご依頼主様が受動喫煙防止対策助成金を受けられるよう、適正な製品価格と労務単価で工事します。昨今は助成金が減少する傾向がありますが、弊社は費用対効果の高い喫煙室を追求しています。「設置はしたいけど費用面が心配」といった場合にもご相談ください。申請手続きの全面サポートを含め、全力でお手伝いいたします。
受動喫煙の防止策3:屋外に喫煙所を設置
こちらは屋外に喫煙所を設置する方法です。駅、学校・公共施設、工場、店舗・オフィス・複合ビル、レジャー・イベント関係施設、神社・仏閣など様々なシーンで活用できます。ここでは新幹線も通っている新大阪駅様の事例を中心に紹介します。
・概要
2018年の年末に、駅前にパネル型の分煙エリアを構築しました。観光客の増加を見越して、駅利用者にとって快適な環境を用意することが狙いです。
・導入した製品
「パネルタイプ」という屋根なしの喫煙ブースを設置しました。この喫煙ブース最大の特徴は「ウエイト式」であることです。つまり、本来は施工しにくいような場所でも設置しやすいので、場所の制限を受けにくいのです。また、基礎工事が不要なので、工期は半日~1日程度で済むのも強みです。その他、移設が容易なのも大きなメリットです。サイズや入口の数に関してはバリエーションが豊富なので、詳しくは製品ページをご覧ください。
主要駅を例に挙げましたが、関西テレビ様の「斜路」にも設置されています。本来、斜路は設置難易度が極端に高いのですが、パネルタイプの特性とミリ単位の計測を駆使して、安全性と美しいデザインを両立させました。このように、一見すると設置しづらい場所でも施工可能な場合があるので、お悩みがあればお気軽にお問い合わせ下さい。
健康経営は喫煙環境の整備からスタート
今回は健康経営の概要と受動喫煙の防止策についてまとめました。国を挙げて健康経営を推進している背景もご理解いただけたかと思います。特に受動喫煙の有害性は先述した通りなので、速やかな対策をおすすめします。もしも、分煙対策製品の選択に迷われるようならば、弊社にご相談ください。