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健康経営と分煙対策コラム

2023.10.06 喫煙所コラム
屋外の喫煙スペースはどこに設置しても問題はないのか?

皆さんは、喫煙に関する正しいルールについて知っていますか?
それから、法律によって規制の対象外となっている場所でも、「配慮義務」があることについて、知っているでしょうか?
今回のコラムでは、「正しい喫煙ルール」や「配慮義務」などについて解説します。

屋外と屋内の定義とは

正しい喫煙ルールについて理解するには、「屋外」と「屋内」についての定義を理解する必要があるでしょう。

厚生労働省の資料によれば、「屋内」や「屋外」は次のように定義されています。
「屋内」とは、外気の流入が妨げられる場所として、屋根がある建物であって、かつ、側壁がおおむね半分以上おおわれているものの内部
これに該当しないものは「屋外」
(出典:職場における受動喫煙を防止するために)

屋内と屋外の違いについて理解しておけば、正しい喫煙ルールを理解するのに役立ちます。

屋外喫煙における課題

屋内よりも屋外の方が、受動喫煙のリスクは小さいと考える人が多いでしょう。
しかし、屋外喫煙であってもさまざまな課題があります。
具体的には、次のような課題です。

受動喫煙のリスクがある

屋内と比較すると、屋外は受動喫煙のリスクが小さいと考えられますが、状況によって異なります。
例えば、人通りが多い場所に設置している、周囲に住宅や施設があるなどの場合には、風でたばこの煙が広がってしまう恐れがあるのです。
しっかりと対策がされていればよいのですが、不十分な場合には、受動喫煙のリスクが高まってしまいます。

設置するスペースの確保

屋外に喫煙所を設置する場合の課題として挙げられるのが、必要なスペースの確保です。
十分なスペースがあれば問題ありませんが、十分なスペースを確保できない場合もあるでしょう。
また、設置する屋外喫煙所のタイプによっても、必要なスペースは異なるため、注意が必要となります。

トラブルが発生するリスク

屋外喫煙所を設置した場合には、トラブルが発生するリスクに注意が必要です。
まず、考えられるのは火災が発生するリスク。
実際に、たばこの火の不始末によって、火災が発生したケースもあります。
火災が発生すると、周囲に迷惑がかかるだけでなく、最悪の場合には、人の命を奪ってしまう可能性もあるのです。
さらに、屋外喫煙所の周囲にたばこの吸い殻をポイ捨てする人なども出てくる恐れがあります。

周囲に住宅や施設などがある場合には、周囲の住民と喫煙をめぐりトラブルとなる可能性もあるでしょう。
たばこの煙やニオイは、喫煙者が考えているよりも広範囲に届いてしまうため、喫煙をめぐるトラブルが起こる可能性があります。
周囲とトラブルが起きると、関係性が悪化してしまうため、周囲の状況に注意が必要です。

ルールやマナーを守らない人がいる

屋外喫煙に限ったことではありませんが、ルールやマナーを守らない人がいるというのも大きな課題と言えるでしょう。
例えば、利用できる人数を制限しているのに守らない、灰皿以外の場所に吸い殻をポイ捨てする、などの行為です。
ルールやマナーを守らない人がいる場合、クレームなどにつながる恐れがあります。

喫煙所の数が不足

喫煙者の数が多い、あるいは多くの人が集まる場所などでは、喫煙所の数が不足するというケースもあるようです。
喫煙所を設置するためには、ある程度のスペースが必要となりますので、スペースがなく十分な数の喫煙所を設置できない場合もあります。
このようなケースでは、喫煙が禁止されている場所で喫煙をするなどの問題が起こりやすくなりますし、多くの人が一度に喫煙所に集まるなどの問題が起こるでしょう。

コロナ過では、3密状態になってしまう可能性があり、一度に多くの人が喫煙所に集まるのは、さまざまな面で大きなリスクとなります。

喫煙者の不満が大きくなる可能性がある

屋外喫煙の場合、喫煙者は喫煙をするために、わざわざ屋外に移動しなければなりません。
移動のために、休憩時間が短くなってしまう可能性があり、喫煙者からの不満につながる恐れがあります。

また、屋根付きタイプであれば大きな問題にはなりませんが、屋根付きタイプではないという場合、大雨や雪など天候によって使用できない可能性があるでしょう。
天候によって左右されてしまう、移動に時間がかかるなどの場合には、喫煙者の不満が大きくなってしまう恐れがあり、こちらも大きな課題と言えます。

第一種施設と第二種施設では喫煙ルールが異なる

喫煙ルールについてですが、必ず理解しておかなければならないのが、第一種施設と第二種施設では、喫煙ルールが異なるということ。

第一種施設とは、子どもや患者などに特に配慮が必要な施設となっています。
学校や病院、診療所や児童福祉施設などが、この第一種施設に該当する施設です。
第一種施設の喫煙ルールは、「敷地内禁煙」となっています。
ただし、特定屋外喫煙場所の設置が認められているため、特定屋外喫煙場所を設置すれば、喫煙は可能です。
その他の場所では、喫煙ができないのが、喫煙ルールとなっています。

第二種施設とは、第一種施設以外の施設のことです。
具体的には、事務所や工場、宿泊施設や飲食店などがこの第二種施設に該当します。
ですから、多くの人にとって関係する施設と言えるでしょう。
第二種施設における喫煙ルールは、「原則屋内禁煙」となっています。
ただし、一定の基準をクリアすることで、喫煙専用室などの設置が可能です。
喫煙専用室などを設置することで、屋内での喫煙も可能となっています。
この点が、第一種施設との大きな違いと言えるでしょう。
また、もう1つの大きな違いとしては、第二種施設の屋外については、「規制の対象外」となっている点です。
ですから、第二種施設では、第一種施設とは違い、厳しいルールなどは設けられていません。
そのため、屋外については喫煙所を設置しやすいと言えるでしょう。

屋外や私有地でも配慮義務がある

第二種施設の屋外や私有地などについては、規制の対象外であると解説しました。
規制の対象外であるということから、「屋外や私有地であれば、自由に喫煙ができる!」と誤って認識している人もいるようです。

しかし、屋外や私有地であっても「配慮義務」があるのです。
健康増進法の第27条第1項には、次のように書かれています。

何人も、特定施設及び旅客運送事業自動車等(以下この章において「特定施設等」という。)の第二十九条第一項に規定する喫煙禁止場所以外の場所において喫煙をする際、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮しなければならない。

(出典:健康増進法 第27条第1項)

法律では、具体的に配慮に関する定めはありません。
そのため、どのような配慮を行えばよいのか、わからないというケースもあるようです。
具体的な定めはないものの、一般的には、次のような配慮が必要であると考えられています。

【喫煙者が行うべき配慮】
・喫煙をする際は、周囲の状況を確認して、できるだけ人のいない場所で喫煙する
・特に配慮が必要である、子どもや患者等が近くにする場合、集まっている場所などでは喫煙をしない

その他では、妊婦に対しても十分な配慮が必要であると考えられます。
妊婦の場合には、胎児の発育に悪影響を及ぼす可能性があるため。
さらに、コロナ過などで大きな問題となっているのが、自宅の庭やベランダでの喫煙です。
とくに、マンションの場合には、たばこの煙やニオイが周囲に拡散してしまいます。
その結果として、望まない受動喫煙のリスクが高まる、あるいは洗濯物にニオイがついてしまうなどの被害が発生する可能性があるのです。

建物の出入口付近や駅などの人通りが多い場所での喫煙は控えるようにするのがよいでしょう。
また、子どもが多く集まる場所として考えられるのは、公園や通学路などです。
このような場所では、子どもが多く集まる、もしくは利用する場所なので、喫煙をしないようにすることが重要となります。

【施設管理者等が行うべき配慮】
・人通りの多い場所などには灰皿を設置しない
・施設の出入口付近には灰皿を設置しない
・施設や店舗の営業時間中のみ灰皿を設置して、営業時間外については灰皿を片付ける
・灰皿を設置するだけでなく、たばこの煙やニオイが広がらないように、パーテーション等を設置する
・定期的に清掃を行う

施設や店舗などでは、喫煙者も多く訪れるため、喫煙所が必要という場合もあります。
しかし、適切な場所に設置していないと、利用者や通行人が望まない受動喫煙が生じてしまう可能性があるのです。
そのため、喫煙者はもちろんですが、施設管理者などについても配慮を行う必要があります。

屋外喫煙所の設置基準とは

配慮義務だけでなく、もう1つ必ず覚えておかなければいけないのが、屋外喫煙所の設置基準についてです。
第一種施設で喫煙を行うには、特定屋外喫煙場所の設置が必要となります。
これは、自由に設置ができるというものではなく、次の3つの基準をクリアしなければなりません。

・喫煙場所と非喫煙場所が区画されている
・標識によって喫煙場所であることを提示していること
・施設の利用者が通常立ち入らない場所に設置すること(例 建物の裏や屋上など)
以上の3つの基準をクリアしていなければ、特定屋外喫煙場所の設置はできません。
そのため、第一種施設において、屋外に喫煙場所を作る際には、基準を満たした特定屋外喫煙場所を設置する必要があります。

区画と聞くと、パーテーションなどを活用した区画をイメージする人が多いでしょう。
もちろん、パーテーションを使った区画も可能ですが、厚生労働省の解説によれば、喫煙場所と非喫煙場所を明確に区別できれば、線を引く程度でもよいとされています。
ですから、必ずパーテーションを使って区画しなければならないというものではありません。
それから、もう1つ注意しておきたいのが、基準を満たしていても設置できない場合があるということです。
これは、「施設を利用する者が通常立ち入らない場所」という条件を満たしていても、周囲に施設が隣接する場合には、設置しないような配慮が必要とされています。
ですから、条件をクリアすれば、必ず設置ができるというものではなく、周囲の状況も含めて判断しなければなりません。

第二種施設に屋外喫煙所を設置する場合の基準についてですが、こちらは第一種施設と大きく異なり、厳しい基準などはありませんが、配慮義務があります。
厳しい基準がないということから、第二種施設の屋外であれば、自由に喫煙ができると勘違いしてしまう人もいるようですが、配慮義務があるため、自由に喫煙はできません。

厳しい基準がなくても、望まない受動喫煙が生じないようにする必要があります。
もしも、この配慮義務を怠った場合には、他の利用者や通行人、近隣住民などと大きなトラブルになる可能性があるのです。

配慮義務を怠ると大きなトラブルにつながる恐れがある

第二種施設の屋外であっても、配慮義務があると解説しました。
また、配慮義務を怠った場合、大きなトラブルにつながる恐れがあるとも解説しましたが、具体的に見ていきましょう。
配慮義務を怠ると、次のようなトラブルにつながる恐れがあります。

望まない受動喫煙が生じるリスク

受動喫煙によって、喫煙者本人だけでなく、周囲の人の健康にも悪影響を及ぼす可能性があるのです。
望まない受動喫煙が生じると、健康被害のリスクが高まります。
とくに、配慮が必要な子どもや患者、妊婦などはその影響も大きいと言えるでしょう。
そのため、望まない受動喫煙が生じないように、十分な配慮を行う必要があります。

他の利用者や通行人、近隣住民とのトラブル

さらに、考えられるのが、喫煙をめぐるトラブルについてです。
施設や店舗を利用するのは、喫煙者だけではありません。
当然ですが、非喫煙者も利用する場合がほとんどです。
混在している状況で、配慮を怠った場合、他の利用者や通行人と口論に発展するリスクがあります。
口論だけでおさまらず、暴行事件などに発展してしまった例もあるため、トラブルを未然に防止するためにも十分な配慮が必要です。

信用を失うリスク

施設や店舗の場合には、その他にもリスクがあります。
そのリスクとは、信用を失うリスクです。
喫煙者と非喫煙者が混在している環境では、配慮を怠ると非喫煙者からの不満が大きくなります。
不満が大きくなると、クレームの増加が考えられるでしょう。
クレームが増加すると、客に与える印象が悪くなってしまいますし、対応する従業員も疲弊してしまう恐れがあります。

さらに、従業員が疲弊するというだけでなく、口コミなどに配慮がされていないと書き込まれてしまうと、一気に情報が拡散されることになるでしょう。
その結果として、売り上げが下がるのはもちろんですが、訪れる客が大幅に減少してしまう可能性があります。
一度信用を失ってしまえば、その信用を取り戻すのは、非常に困難となるでしょう。

訴訟のリスク

最も注意しなければいけないのが、訴訟のリスクについてです。
テレビのニュースや新聞、インターネットニュースなどでも取り上げられることがありますが、喫煙をめぐる近隣トラブルが実際に起きています。
例えば、庭やベランダでの喫煙をめぐるトラブルです。
庭やベランダでの喫煙は、喫煙者が想像しているよりも広範囲に、煙やニオイが広がってしまいます。

その煙やニオイをめぐり、近隣住民が訴訟を起こす可能性があるのです。
もしも、近隣住民から訴訟を起こされてしまった場合には、近隣住民との関係が悪化するというだけでなく、金銭面での負担も大きくなってしまうでしょう。

金銭面での負担とは、「弁護士費用」「敗訴した場合の損害賠償金」「引越し費用」などがあります。
訴訟を起こされてしまった場合には、近所との関係も悪化してしまうため、その場所に住み続けることが難しいというケースもあるでしょう。
そのような場合には、引越しが必要となるため、引越し費用もかかると考えることができるのです。

ここまで解説してきたように、配慮義務を怠ると、さまざまなリスクがあります。
大きなトラブルにつながる恐れがあるため、十分な配慮を行う必要があるのです。
喫煙者はもちろんですが、施設管理者についてもしっかりと覚えておきましょう。

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まとめ

日本における喫煙ルールは、第一種施設と第二種施設で異なります。
第二種施設の屋外や私有地などでは、規制の対象外となっていますが、配慮義務があるのです。
配慮義務を怠った場合には、大きなトラブルにつながる恐れがあるため、注意が必要と言えるでしょう。
配慮義務については、喫煙者はもちろん、施設管理者にも配慮が求められます。
喫煙者と非喫煙者が共存できる環境を構築することが大切です。

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