2021.02.26
喫煙所コラム
閉鎖や規制も。Withコロナの喫煙所の動向と求められる対応・課題
全国で喫煙所がどんどんと閉鎖されています。ニュースで報道されている通り、喫煙に関する規制もより厳格化しました。ただ、従来の喫煙ルールに慣れている人にとっては困惑することも多いかと思われます。そこでこの記事では「喫煙所の閉鎖状況や規制など、喫煙を取り巻く動向を知りたい」「新ルールに応じた喫煙所を設置したい」といった声に対して、厚生労働省などの情報をもとに解説します。喫煙者はもちろん喫煙所の設置を検討している事業者には特に有用な内容なので是非ご覧ください。
喫煙所の閉鎖状況と新しい規制
2020年4月1日より改正健康増進法が全面施行されたことを受け、喫煙所を巡る環境が大きく変化しました。望まない受動喫煙を失くすというスローガンのもと、従来の喫煙所設置のルールが刷新されたためです。ここでは喫煙所の閉鎖状況と新しくなった規制について実例を交えつつ解説します。
東京都23区中19区が閉鎖対応
東京都を例に挙げると、喫煙所の数が確実に減少しています。社会人の方は会社の喫煙ブースが撤去されるなど、身を持って法改正を実感されているのではないのでしょうか。実際に、一般社団法人日本禁煙学会のHPの発表によると、東京都23区中19区で喫煙所の閉鎖対応がされているそうです(2020年5月28日時点)。閉鎖された区の内訳は以下の通りです。
■東京都23区の喫煙所閉鎖状況(2020年10月時点)
・完全閉鎖(13)
港区、新宿区、墨田区、品川区、目黒区、渋谷区、杉並区、豊島区、北区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区
・一部のみ運用(6)
千代田区、中央区、文京区、台東区、世田谷区、荒川区
このように今年の5月時点でも過半数の区で喫煙所が完全閉鎖されているので、今後もこの流れは加速することが予想されます。このことから、喫煙者は従来よりも厳しい環境のもとで喫煙することが求められていることが分かります。
また、このような動きは国だけが推し進めているわけではありません。現に受動喫煙に苦しむ人が行政に対して、訴訟を起こしたという事例がいくつもあるのです。例えば、神奈川県では以下のような裁判が行われました。
■神奈川県での受動喫煙を巡る裁判の流れ
某駅の喫煙所からのタバコ煙が原因で、某駅が通勤経路である住民Aさんは、そばを通るたびに呼吸が困難になっていた。Aさんが鉄道会社に確認したところ、Aさんと同様の苦情がいくつも寄せられていたとのこと。喫煙所の管理は市が行っていたため、喫煙所の廃止・撤去を求めて少額訴訟を起こした。
以上の様に、喫煙に際しては受動喫煙を防ぐために最大限の配慮をしなければならないのが、現代の日本の状況だということが言えそうです。
※出典:一般社団法人日本禁煙学会「東京都23区の対応|日本禁煙学会」
改正健康増進法で喫煙できる場所が減少
上で述べた様に物理的に喫煙できる場所が減っていますが、これは改正健康増進法によって従来よりも厳しい喫煙ルールが課されたことに由来します。改正健康増進法が定める新ルールのポイントは以下の4つです。
※なお、事業者の分類によって設置できる喫煙所が変わるので、詳しくは厚生労働省の特設WEBサイトをご覧ください。
1.屋内の原則禁煙
2.喫煙室の設置
3.喫煙可能な場所であることを示す標識の掲示義務
4.客も従業員も20歳未満の者は立入禁止
要するに定められた場所(喫煙室)でのみタバコを吸うことが許されるというルールに変更になったのです。これによって、WHOから喫煙ルールが「最低レベル」とされた日本の評価も上がるかもしれません。同時に本法律の目的である「望まない受動喫煙防止」の実現も期待されています。
なお、日本では受動喫煙による年間死亡者数が約1万5千人と推定されており、肺がん、虚血性心疾患、脳卒中が死因とされています。また乳幼児突然死症候群の発生率が4.7倍になるという恐ろしいデータも出ています。そのため受動喫煙を避けることによる恩恵は非常に大きいと言えるでしょう。更には「たばこのないオリンピック」をIOCが掲げていることもあり、かつてないほど日本に禁煙の波が押し寄せています。
一方で、喫煙ルールの変更による弊害も起こっており、複数の課題を抱えているのが現状です。以下からは解決が必要な課題について1つずつ触れていきます。
※出典:東京都福祉保健局「東京都受動喫煙防止条例 | 目的について」
喫煙所の閉鎖によって生まれた課題とは
改正健康増進法によって多くの喫煙所が閉鎖されている関係で、喫煙者と非喫煙者の双方に不利益が生じています。新型コロナウイルスが蔓延したことも相まって、喫煙所のあり方が問題視されているのです。具体的には、今後新たな喫煙所を設置する場合には以下の課題をクリアすることが必須だと言えるでしょう。
禁煙場所での路上喫煙が増加
喫煙所の閉鎖に伴って、禁煙場所での路上喫煙が増えたり、禁煙エリアで隠れて喫煙する事例が増加しています。福祉施設・行政施設、旅客運送事業船舶・鉄道、飲食店をはじめとする普段利用している喫煙所がなくなったため、いわゆる「喫煙難民」があふれてしまっているからです。実際に都内の飲み屋街では以下のようなトラブルが発生していると報道されています。
・飲食店の外に設置された灰皿を求めて、客が店の外でタバコを吸うケースが増加し、かえって受動喫煙のリスクが高まっている
・駅前の狭い路地で路上喫煙者が多くみられるようになった
このような状況では非喫煙者からのクレームも増加してしまうことでしょう。「締め出すだけではどこかでしわ寄せがくる」という現場の声も散見されます。そのため、今後は適切な対策を取った上で喫煙所を開放していくほうが、喫煙者・非喫煙者両方にとって良い環境になることでしょう。
喫煙所の混雑状況が分からず順番待ち
喫煙所の数が減少するということは、現存する喫煙所に大量の喫煙者が集まることを意味します。そのため、喫煙所がいっぱいになっていたら喫煙所の前で待つ、あるいは離れた喫煙所に移動するという手間が発生してしまうのです。休憩時間などが限られている社会人にとっては死活問題になってしまうので、見過ごせない課題と言えるでしょう。そのため、事前に喫煙所の混雑状況が把握できるようなシステムが求められています。
弊社では喫煙所の混雑状況を人感センサーで可視化するIoTサービスも提供しております。詳しくはこちらをご覧ください。
1つの喫煙所に人が密集する
上述したように1つの喫煙所に人が集まることで密な状況が発生します。これは喫煙所が新型コロナウイルスのクラスターの温床をなりえることを示唆します。なぜならば、喫煙時にはマスクが非着用なので飛沫感染のリスクが上がりますし、従来型の喫煙所の中は換気が十分ではないからです。そもそも呼吸器の機能を弱める喫煙行為は感染リスクを高めるのではないかとするニュースもあったので、余計に密な状態は避けるべきでしょう。
以上の様に喫煙に関する課題は山積みなので、1つずつ解決していかなければいけません。しかし、解決方法がないわけではなく各社がこぞって優れた喫煙関連商品を開発しています。ニュースで取りざたされている「分煙ブース」もその1つです。弊社でも質の高い商品を開発・販売しておりますので、ご興味があればカタログやこちらのページをご覧ください。
喫煙所の閉鎖問題には、規制に応じた解決策を
喫煙に関するルールが厳格化され、より効果的な分煙が求められる時代になってきました。ただ、変革期にある現在では、それによって上に挙げたような課題が浮き彫りになっていることは事実です。この記事では喫煙所の動向と求められる対応・課題について紹介しましたが、別記事ではその解決策を提案いたします。弊社が誇る数々の喫煙関連商品も合わせて紹介しますので、喫煙室の設置を検討されている事業者の方は是非そちらもご覧ください。
解決策を紹介している記事はこちらです。